二度のプレゼンを経て商品化。あの話題のコラボスイーツ開発の裏側とは?
━━たくさんの苦労を経て、店舗で提供されるスイーツですが、実際どれくらいの商品を試作して、商品化されているのでしょうか?
月輪さん「年間で商品化されてるものが、大体50個。感覚値ではありますが、その2〜3倍ほどは開発していると思います」
━━ものすごい数のアイデアが必要なお仕事ですね。
月輪さん「飲食店に行っても、自分の好みではなく参考になりそうなメニューを注文してしまっています(笑)。常に『何を作ろうかな』って考えていて、同じ商品でも何パターンかバリエーションを増やして考えるようにしています。例えばクリームが多めのものと、もうちょっとイチゴの酸味を効かせたもの、といった風に」
━━試作から商品化まで、どれくらいの期間が必要なんでしょうか?
月輪さん「2パターンあって、コラボ商品の場合はスケジュールが決まっています。早いものだと1年前から決まってることもあります。スシローオリジナルの商品・企画の場合は、基本的には販売の3ヶ月前に商品内容を確定させなければならず、その前から試作をしている、というスケジュールです」
━━(取材日の)今が7月なので、10月提供の商品はもう確定しているということですね。
月輪さん「はい。そこへ間に合うよう、まずは商品開発本部への『部長プレゼン』。合格したら『社長プレゼン』。この2つのプレゼンの合格をまずは目指します」
━━社長プレゼンで合格すれば、商品として売り出されるんですね。
月輪さん「実は、そういうわけでもなくて。合格したスイーツの中から、フェアの企画内容に合わせて選抜されます。プレゼンを合格したスイーツは、販売できる商品のアイデアをストックしているようなイメージで考えてもらえれば」
━━商品化されているスイーツが年間50個なので、合格しているものは実際もう少し多いということですね。
月輪さん「完全新作だけでなく、既存商品のブラッシュアップするパターンもあります。今回の『老舗茶舗のお抹茶パフェ』は、去年販売し、大好評だった『老舗茶舗の宇治抹茶フルーツ和パフェ』という商品です。去年も森半の抹茶を使用していましたが、さらに抹茶を味わえるようにブラッシュアップして、今年は夏のグランドメニューになりました」
━━売れ行きや反響を見て、良かったものはリバイバル販売。そうでなければ反省点から改善して再チャレンジ!という感じなんですね。
月輪さん「はい。商品をより美味しくしないといけないので、私も常にレベルアップしないと…(笑)。入社当時にはできなかったことが、より美味しくできているっていうのはすごく感じていますね」
━━たくさん開発してきた中で、思い出深い商品はありますか?
月輪さん「直近で1番話題になった、ブラックサンダーとのコラボ商品です。バレンタインに向けて今年の1月から販売したんですけど…すごい反響でした」
※現在販売を終了しております
月輪さん「『ブラックサンダー』は『義理チョコ』として販売されていたこともあり、カフェ部ではそれを逆手にとって、『本命チョコのパフェを作りましょう』というコンセプトを考えました。恋占いも付けてもらって(笑)」
━━すでに美味しいブラックサンダーをスイーツ仕立てにするのもまた、ハードルがあったんじゃないでしょうか?
月輪さん「そうなんです…!ブラックサンダーのコンセプトは『圧倒的ザクザク感』。それをスシローのデザートにどう組み込むかっていうのは大変でした。でも、お互いの強調される部分を際立たせることこそ、コラボの意義だと思って挑戦しています」
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世界へ羽ばたくスシローカフェ部。リニューアルを経て進化中!
スシローカフェ部は2024年5月にリニューアル。「おいしく、わくわく、ぞくぞく。」という新たなコンセプトと新ロゴを発表したばかりです。パティシエも3人に増え、試作もスピードアップ。今後発表されるスイーツに期待が寄せられています。
今年4月に入社した新・スシローカフェ部員の作田潤一さん。
若いパティシエ3人を中心に切磋琢磨しながら日々スイーツを考案している
新しくなったスシローカフェ部ロゴ。
ぽてんと乗ったクリームが可愛い!
━━月輪さんはスシローカフェ部で5年目。今取り組んでいることや、チャレンジしていることはありますか?
月輪さん「今、スシローは海外にも店舗を広げていて、海外で提供できるスイーツ開発に挑戦中です。日本で開発したものを同じように海外にも持っていきたいのですが、輸出できない材料があったり、関税で高すぎたり…これまでとは違った種類の課題があります」
━━海外!日本のお寿司は海外でも人気が高いですよね。
月輪さん「現地のメンバーが私のことをすごく心待ちにしてくれていて。中国、香港、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア…アジア圏を中心に回ってスイーツを作っています。湿度、温度も違うのですが、そもそも原材料のクオリティがまったく違うので、同じ配合で作っても美味しいものは作れないんです。現地の材料でどれだけ美味しいものが作れるか、ずっとチャレンジしているところです」
━━ありがとうございました!最後に、月輪さん自身の今後の目標を教えてください。
月輪さん「スシローに来るお客様は、ほとんどがお寿司目当てです。それはもちろんなのですが、私としては『デザート目当て』のお客様をもっと増やしたいってずっと思っています。スシロースイーツは今の価格をキープする意味でも、ほとんどの商品はテイクアウトできません。お寿司屋さんだから必ずお寿司、とかあまり気にせず!ぜひ店舗でしか食べられないスシロースイーツを食べに来てほしいです」
※抹茶スイーツ(パフェ、モンブラン)は、7月3日~販売中。1日の販売数に限りがあります。
あかざしょうこ
ウフ。編集スタッフ
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関西方面のスイーツ担当。1984年生まれ、大阪育ちのコピーライター。二児の母。焼き菓子全般が好き。特に粉糖を使ったお菓子が好きです。
photo by Seiki Masai