「パリ2024オリンピック」開会式を彩った5人のミューズたち。ディオールの衣装とともにプレイバック

華々しく幕を開けた「パリ2024オリンピック」。約4時間にもおよぶ開会式では、フランス国内はもちろん、海外からのミューズたちによるパフォーマンスが話題となった。彼女たちの衣装を手掛けたのは、本大会のプレミアムパートナーでもあるLVMH傘下の「ディオール」だ。女性と女性の強さを称え、エンパワーメント、自由、自己主張といった、ブランドとクリエイティブ ディレクターであるマリア・グラツィア・キウリの価値観を表現した作品の数々には、モンテーニュ通り30番地のアトリエで数千時間が費されたという。5人のミューズたち、そして彼女たちのパフォーマンスを盛り上げるダンサー、バックシンガーたちがまとった「ディオール」の作品を振り返ろう。

アクセル・サン=シレル


Dior

グラン パレの屋上で国歌「ラ マルセイエーズ」を披露した、オペラ歌手のアクセル・サン=シレルは、8メートルを超える真っ白なドレスに身を包み、圧倒的な存在感を放った。

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フランスのオートクチュールの象徴として、ドレープ技術を反映させたドレスは、白いシルクチュールのビスチェとシルククレープのアシンメトリーなペプラムドレスで構成。彼女が手に持った大きくなびく国旗の赤と、ドレスのウエストからしなだれる赤い生地とがつながり、まるで彼女自身が国旗へと変容していくかのようにデザインされている。


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約60人の女性合唱隊は、ギリシア風の文化を意味するヘレニズムを再考したペプラムドレスを着用。彼女たちは、フェミニズムを表現していたアフリカ系アメリカ人アーティスト、フェイス・リンゴールド(1930-2024)の作品『Freedom Woman Now』を彷彿(ほうふつ)とさせる、“Femme”“Libert锓2024”の文字が彩られた旗を持ち、アレクサンドル3世広場で歌唱した。

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ジュリエット・アルマネ


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セーヌ川のボートの上で、炎の上がるピアノを背にジョン・レノンの『イマジン』を歌ったフランスのシンガー・ソングライターのジュリエット・アルマネ。彼女には、刺繍家クララ・ダギャンとのコラボレーションによって制作された、テクニカルな衣装が用意された。


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ブラックのパテントコーティングがほどこされたキャンバス地のトップスとパンツのツーピースは、ジョン・レノンの象徴的なシグネチャーシルエットを再考したもの。生地には多数のファセット スピン トップ ビーズがあしらわれ、それらが独創的なプログラミングシステムによって楽曲と連動するようにまたたく。卓越した技術を反映し、暗闇を照らす希望の輝きを詩的に表現したパフォーマティブアートだった。