「何やその態度は!」スーパーの駐車場で怒鳴り合う老人…周囲もドン引きした“大ゲンカの原因”

 自分にとっては「些細なこと」でも、他人にとってはブチ切れるほど腹が立つこともあり、そうした状況が大ゲンカに発展することもある。そしてそれは当事者同士だけではなく、周囲を巻き込んで迷惑をかけていくことも少なくない。

 割引シールを貼った惣菜も残り少なくなっていた夜間。買い物を終え、娘さんといっしょにスーパーから出てきた三浦洋子さん(仮名・40代)は、「あ? こんな停めかたして、当たったらどないしてくれるんじゃワレ!」という怒鳴り声に思わず固まった。

◆老人2人が一触即発ムード

「怒鳴り声が響いたのは、閑散としているスーパーの駐車場。すぐに怒鳴り声を発している高齢の男性Aを見つけることができました。怒鳴られていたのも高齢の男性B。どうやらAは、Bが駐車枠をはみ出して駐車しているのが気に食わないようでした」

 目を凝らすと、確かに1台の車が駐車スペースから大きくはみ出し、斜めに駐車している。Bも「すみません」と言って駐車し直せばいいのに「はいはい、もういいでしょ」とあしらうような態度。それがさらに、相手の老人Aの怒りに火をつけた。

「Aは『何やその態度は? あぁっ?!』と、Bに掴みかかりそうな勢い。一触即発のピリピリムードとなってしまいました。ハッと周辺を見渡すと、老人2人のやり取りにドン引きした様子の人たちが固まったまま動けずにいます。娘も固まっていました」

◆イカツイ系お兄さんが仲裁


 Bは相手にしていない素振りを見せながらも、「はぁ?」「はいはい」とバカにしたような態度を取り続ける。怒りが収まらないAは、Bにズイっと詰め寄り、いつ殴りかかってもおかしくないような緊張した状況に。

「これは警察に通報したほうがいいかもしれないと思い、娘の手を引き、急ぎ足で自分の車まで戻ろうとしたときです。40代ぐらいのイカツイ系お兄さんが老人2人のほうへ歩み寄り、『どうかしたんですか?』と、少し大きめの声で話しかけていきました」

 イカツイ系お兄さんの声に、ますます駐車場にいた人たちが老人2人に注目。注目の的になったことでおとなしくなるかと思いきや、Aの興奮は収まらない。イカツイ系のお兄さんは、しっかりと老人2人のあいだに入り、「わかる、わかるで」と、なだめ役に徹している。

「私は車に乗ってすぐ、110番通報しました。ただ娘も乗せていたため、駐車場からはいったん退避。でもやっぱり気になって数分後に戻ったときには、駐車枠から大きくはみ出して駐車していたBの車だけが残っていて、7人ほどの警察官が到着していました」

◆実はこの出来事が起きる数日前…

「警察が来る前には解決していたのではないか」と話す洋子さんだが、話はこれだけで終わらない。実はこの出来事が起きる数日前、洋子さんはショッピングセンターで駐車枠を大きくはみ出して駐車してきた50代後半ぐらいの男性に嫌な思いをしていたのだ。

「ショッピングセンターで買い物を終え、娘といっしょに車へ乗り込んだとき、軽自動車がものすごいスピードでやってきて、隣の駐車枠に駐車したのです。私の車以外、周囲には1台も止まっていないのに、わざわざ隣に駐車し、ジロジロとこちらを見ています」

 しかもその車は、駐車枠から大きくはみ出しているようで、ミラー同士にほぼ隙間がない状態。そしてその男性は洋子さんをジロジロ見ながら、膝に置いたファストフードの紙袋からバーガーを取り出してすごい勢いで頬張り、もう片手にはポテトが大量に握られていたとか。

「ショッピングセンターの出入口から少し離れた駐車場で周囲はガラガラなのに、隣の駐車スペースから大幅にはみ出し、当たるスレスレに駐車するとか意味がわかりません。こちらをジロジロと睨むようにハンバーガーを貪りはじめるし、言い知れぬ恐怖を感じました」

◆正義を振りかざすのもほどほどに

 洋子さんは「車が接触したらどうしよう」と考えながらも、次の予定が迫っていたため車を出すしかなく、ゆっくりと慎重に駐車場をあとにしたと話す。その数日後に、スーパーでの老人のやり取りを目撃したという。

「駐車枠に合わせて駐車するのは、状況によっては枠が小さいなど大変かもしれません。でも、ほかに駐車する人のためにもきちんと枠内にとめることが大切だと思いますし、たとえほかの人が悪くても、正義を振りかざして怒りをぶつけるのもどうかと思います」

 そして当人同士だけではなく、周囲にいる人たちも嫌な想いをすることを忘れてはいけない。また、ケンカを止めに入る勇敢な人もいるかもしれないが、仲裁人がケガを負うこともある。今回のようなケースを見かけたら、まずは通報することが大事といえるだろう。

<TEXT/夏川夏実>

―[乗り物で腹が立った話]―

【夏川夏実】

ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5