ごみ箱の設置をインフラサービスと捉えた、抜本的な対策が必要
――ごみのポイ捨てが増えないように、国や自治体が行うべき施策には、どんなものがありますか。
柏村:今の日本は観光産業が伸びている状態です。そして、日本は訪日外国人から「他の国に比べてもごみが少なくきれいな国」といわれています。国は今後もそこに力を入れていこうとしているので、ごみ箱の設置や管理をインフラと捉え、社会全体として進めるべきだと考えます。
また、観光庁や環境省が主導してごみ箱の設置も含めたオーバーツーリズム対策の補助金を拡大している流れもあり、自治体を含めて対策を我々と一緒に良い方向へ解決を本格化していければと思います。
――ごみ箱不足の問題のために、私たち一人一人ができることはどんなことでしょうか?
柏村:ごみを捨てる場所がなく困っていることを、社会の声としてお住まいの自治体に届けることも大事だと思います。そうすることで社会インフラとしてのごみ箱が復活していくのではないかと思っています。
そして、まちの中にごみ箱が設置されたら、ごみを資源として扱えるように、正しい分別を心がけることが、よりよい地球の未来のために必要だと確信しています。
ごみ問題について一人一人ができるヒントを話す柏村さん
編集後記
柏村さんの「公共のごみ箱はほとんどなかった」という話を聞き、ハッとさせられました。そして、自動販売機に併設されたリサイクルボックスなどは企業による善意で置かれているとのことでしたが、ではその善意がなくなってしまったら、まちに捨てられるごみを誰が処理するのでしょうか?
社会全体として適切な場所にごみ箱を増やしていくことの重要性はもちろん、もしごみ箱がない場合にも、ごみをポイ捨てしない、家に持ち帰るなど、一人一人ができることはたくさんあります。
また、もしまちの中で溢れているごみ箱やごみ置き場を見つけたら、見て見ぬふりをせず、自治体に連絡したり、SNSで呼びかけたりするなど、ごみの問題を自分事と捉えることができれば、少しずつ社会が変わっていくのではないでしょうか。
撮影:十河英三郎