退職や転職など自己都合で会社を辞める場合でも、失業保険はできるだけ早く、そして多くもらいたいものですね。FPの私のところに寄せられる相談の中でも、退職や転職に関するご相談が多くあります。その際、いつも話題にあがるのが、この失業保険の受給できる金額や期間です。
失業保険は、条件によって給付される金額や期間が変わってくるので、できれば退職前にチェックしておきたいところ。そこで今回は最大限に失業保険をもらうため・、できる限りすぐにもらうために知っておきたいポイントをFP目線で解説していきます。
給付額・期間はどれくらい?失業保険受給の仕組み
失業保険の受給金額や期間の話をする前に、まずは失業保険が受給できる「失業」の定義を確認しておきましょう。
「失業」とは、離職した人が、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことをいいます。
よって次のような状態にあるときは、失業保険の給付を受けることができませんのでご注意ください。
・病気やけがのために、すぐには就職できないとき
・妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
・結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
(厚生労働省のホームページより抜粋)
ではその失業保険の受給金額と期間について詳しくみていきましょう。
失業保険の受給金額は、退職前の給料と退職時の年齢から計算されます。また、失業保険の給付期間は、退職理由や退職時の年齢、勤続年数によっても異なってきます。
まずは、退職する直前6カ月間の給料の合計額を調べましょう。残業代や住宅手当などの各種手当が会社から支給されていればその金額も含めてください。その合計額を180日(30日×6カ月)で割った金額が賃金日額となります。しかしこの金額が受給できる金額のベースになるわけではありません。
この賃金日額を下記の表に基づき給付率を掛けて計算されたものが「基本手当日額」となります。基本手当日額の計算方法は年齢によって異なりますので下記の表を参考にしてください。
基本手当日額の計算方法
◆離職時の年齢が29 歳以下か65歳以上の場合
賃金日額
給付率
基本手当日額
2,500 円以上 5,010 円未満
80%
2,000 円~4,007 円
5,010 円以上 12,330 円以下
80%~50%
4,008 円~6,165 円
12,330 円超 13,630 円以下
50%
6,165 円~6,815 円
13,630 円(上限額)超
ー
6,815 円(上限額)
◆離職時の年齢が30~44歳の場合
賃金日額
給付率
基本手当日額
2,500 円以上 5,010 円未満
80%
2,000 円~4,007 円
5,010 円以上 12,330 円以下
80%~50%
4,008 円~6,165 円
12,330 円超 15,140 円以下
50%
6,165 円~7,570 円
15,140 円(上限額)超
ー
7,570 円(上限額)
◆離職時の年齢が45~59歳の場合
賃金日額
給付率
基本手当日額
2,500 円以上 5,010 円未満
80%
2,000 円~4,007 円
5,010 円以上 12,330 円以下
80%~50%
4,008 円~6,165 円
12,330 円超 16,670 円以下
50%
6,165 円~8,335 円
16,670 円(上限額)超
ー
8,335 円(上限額)
◆離職時の年齢が60~64歳の場合
賃金日額
給付率
基本手当日額
2,500 円以上 5,010 円未満
80%
2,000 円~4,007 円
5,010 円以上 11,090 円以下
80%~45%
4,008 円~4,990 円
11,090 円超 15,890 円以下
45%
4,990 円~7,150 円
15,890 円(上限額)超
ー
7,150 円(上限額)
(厚生労働省のホームページより抜粋)
この表に基づき計算された基本手当日額がベースとなり、次に記載する勤続年数(被保険者期間)に応じた日数受給することができます。
被保険者期間
1年以上10年未満
10年以上20年未満
20年以上
所定給付日数
90日
120日
150日
上記日数は、「自己都合退職」の場合で、倒産や解雇などの理由で「会社都合」で退職した場合は「特定受給資格者」となり日数は異なります。また、自己都合退職の場合は、失業保険の申請をして7日間の待期期間後、更に3カ月間は失業保険を受給することはできません。
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妊娠、病気、ケガなどの場合は「受給期間の延長」申請を
病気やケガ、妊娠などの理由によって退職し、治療や育児のためにすぐには働けないという人は失業手当の受給ができません。なぜなら失業手当は「働く意思がある人」を対象としているためです。 しかし、病気やケガなどで手当を受給できない人のために救済策が用意されています。それは離職日の翌日から1年以内に30日継続して働くことができなかった場合に「受給期間の延長」を申請することができるのです。
延長できる期間は、本来の受給期間1年に加えた3年間(合計4年間)。病気やケガ、妊娠や育児などで失業保険を受給できないという人は、忘れずに申請しておきましょう。