前例のない華やかさと奇抜な演出が大きな反響を呼んでいるパリ2024オリンピック開会式。その衣装制作を手がけたアトリエで本番前、今回の芸術監督を務めた舞台演出家トマ・ジョリーらを取材したという舞台裏リポートを、マリ・クレール インターナショナルのフランス版デジタル記事よりお届け。
オマージュと奇抜さ
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アトリエの中央では、式典の衣装デザイナーの責任者であるOlivier Beriot(オリヴィエ・ベリオ)が、クチュールのマネキンに着せた衣装について説明している。16世紀末のフランス王アンリ4世の時代を彷彿(ほうふつ)とさせるスタイルで、体にぴったりとフィットした衣装……しかし、ネオプレーンのような素材はバスケットボールを連想させる。
リュック・ベッソン監督との仕事や、『LUPIN/ルパン』シリーズ(Netflix)を手掛けたことで知られる彼は、「一度しか着用しないという衣装のユニークな性質で、より奇抜な表現が可能になりました」と語る。「フェンシングやアメリカンフットボールを連想させる、あのカッティング」。快適さについては、俳優が最後に語るだろう。
耐性についても考慮されている。「衣装から50cmのところを通るカメラがあるので、(衣装が)壊れてはいけないのです」。現在の天候を考慮し、オリヴィエは防水性についても用心深い。「雨が降っても色落ちしないことを確認しています」
(雨を)心配しているだろうか? ピュイ・デュ・フー(フランスにあるヨーロッパの歴史を主題としたテーマパーク)の衣装デザイナーでもあるオリヴィエは微笑んでいる。「パリは雨に濡れたときもまた素晴らしいですよ!」
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4つの式典の衣装
Pool / Getty Images
衣装の制作は2022年12月から2023年6月にかけて行われたと、トマ・ジョリーは振り返る。「これら4つのセレモニー(オリンピック、パラリンピックの開会式と閉会式)を想像するのは、気分が浮き立つようなことでした……。それからアイデアを練り、実行に移し、デザインに取り掛かりました。そして今、2024年6月、私たちは夢を現実に変えようとしています」
国際オリンピック委員会からのフィードバックをもとに調整を重ねるという過酷な任務だったが、芸術監督は最終的な結果に満足している。「重要なのは、私の当初の意図に沿ったものだったということです」
衣装が作られている間、他のチームはセットの最終調整と構造物の準備をしていた。
1時間半後、ダンサーやアーティストがリハーサルを中断して衣装を試着しに来るため、取材現場を後にする時間になった。
ダフネ・ビュルキは、「私たちは、彼らを一人ずつ迎えて話を聞き、快適なポイントを聞き出すつもりです」と締めくくった。「イライラしないで」と彼女はアドバイスするが、それでも集まった記者たちの焦りには同情的だ。「今にわかるわ。大事な日にすべての衝撃を一挙に目にすることほど素晴らしいことはないでしょう」
translation & adaptation: Akiko Eguchi
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