27歳の起業家・森谷和正氏。慶應義塾大学在学中の2019年に設立した物販スクールは、生徒数が2000人を突破。年商は、事業5期目で10億円を超えている。華やかな経歴の持ち主だが、ネットを中心に数々の炎上騒動を巻き起こした人物でもある。炎上を乗り越えて成功を掴む、鋼のメンタルに迫った。
◆大学受験に失敗したうえ投資詐欺の被害に
大学在学中に起業し、話題を集めた森谷氏の大学生活は、手痛い失敗から始まった。
「多くの同級生が第一志望の大学に合格する中、僕は第一志望の大学に落ちてしまいました。慶應に入学できたとはいえ、自分としては受験に失敗したという認識が強かったんです。それで挽回したいと考えて、お金持ちになろうと考えました」
森谷氏が選んだのは、「ラクしてお金持ちになれそうな投資」だった。しかし、当然ながら現実は甘くない。
「本などを読んで1年生の終わりに投資を始めてみましたが、詐欺にあってしまって……。信じていた人に、アルバイトをしてコツコツ貯めた32万2000円をだまし取られてしまいました」
詐欺の加害者との出会いは、SNSのダイレクトメールだった。
「もちろん、今なら絶対に引っかかりませんが、当時の自分は19歳で無知でしたし、子供を騙すような大人がいるとは考えもしませんでした。今ではいい勉強になったと思って吹っ切れているので、できることなら加害者ともう一度会ってみたい。どんな気持ちで騙したのか聞いてみたいですね」
◆大学を軽視する発言で最初の炎上を経験
そんな森谷氏に転機が訪れたのは、大学3年生のとき。旅行で訪れたグアムのアウトレット店で、日本では高値で売られているブランド物の洋服を発見。ここで安く仕入れて高値で売れば、利益が出るのではないか。これが物販を始めるきっかけとなったという。
「事業に集中するため、4年生のときに休学すること決めました。ただ、当初は休学ではなく、退学するつもりで、卒業間近とはいえ、第一志望の大学ではなかったですし、このままでは一生変われないんじゃないかという焦りもあって。人生を変えるなら今だと思い、当時の友達全員と関係を絶って大学も辞めようとしたのですが、父親に説得されて退学ではなく、休学する道を選びました」
一念発起して取り組み始めた物販事業は初月から10万円の利益を出すことに成功。しかし、調子に乗った過激な発言ですぐに最初の炎上を体験することになる。
「今なら絶対につぶやきませんが、当時は幼かったですし、社会に対する反発心が強かったんだと思います。『大学なんて無意味』『飲み会で稼ぐ方法』といった発言をあえてすることで、SNSが盛り上がるのを見るのも、正直、楽しかったので……」
◆順調だった物販スクールがまさかの大炎上
その後も数々の炎上を体験した森谷氏だったが、事業は順調に拡大を続けた。物販を初めて半年後に物販スクールを運営のスタート。着実に実績を伸ばして生徒数も増えていたが、23歳のときに大きなトラブルに遭遇する。
「スクールが大きくなり、途中から参加してもらったとある講師が、スクール内でマルチの勧誘を行っていて……。僕自身、その講師を信頼していたので、勧誘されたという生徒から報告されたときは、『まさか』という思いが強かったです」
森谷氏は告発した生徒と協力し、講師がマルチを行っている証拠を掴むことに成功。マルチに関わっていた人間を全員辞めさせて、被害に遭ったメンバーの返金も進めたが、被害額は300万円にものぼった。さらに、この事件をきっかけに森谷氏の物販スクールはさらなる炎上に見舞われ、生徒の数は半分まで激減してしまう。
「講師の不正をすぐに見抜けなかった要因は、僕の管理不足にもある。それに、当時は口約束で、問題を起こした講師とちゃんとした契約を結んでいなかったのも大失敗でした。被害に遭われた生徒さんたちには、今も申し訳ない気持ちでいっぱいです」
◆数々の炎上を乗り越えて目指すは年商100億円
24歳のとき、2年間休学した大学を卒業するも、今度は学歴詐称を疑われて新たな炎上の火種になる始末。それでも挫けずに挑戦を続けてきた背景には、現在の社会に対する反骨精神もあると明かす。
「僕は、世の中はもっとよくなると思っていて。政治家になるのがわかりやすい方法だとは思いますが、僕は物販スクールの運営やSNSでの発信を通して、世の中を少しでもよくしていきたいと考えています。
とにかく、僕を信じてお金や時間を使ってくれる生徒さんたちを幸せにしたいですね。生徒さんの中には、人生を賭けてスクールに入ってくれている人もいますから。そのためにも、僕自身、さらに成功しなければいけません。
今後の目標としては、年商100億円を目指しています。今、27歳なので、30歳までには難しいかもしれませんが、少なくとも40歳までには年商100億円を実現して、生徒さんたちの目標になりたいです」
そんな森谷氏に、「大学を卒業してよかったか」を聞いてみた。
「卒業してよかったですし、僕のように悩んでいる学生の子たちも、絶対に卒業しておいたほうがいいですよ。1年生で退学するならまだしも、僕のように3年生まで通って退学するのは本当にもったいないですから!」