厳選された羊肉串向けの羊肉を選び、火の通りのちょうど良くなるサイズにカットした串のセット。適度な弾力と深い味わいで、お店でも人気の商品です。付属のオリジナルスパイスをかけて、いただきます。
羊肉とパクチーがこれほど日常的な食べ物として浸透したのは、ひとえに「味坊」(神田)の功績だろう。
2000年に神田のガード下にオープンした味坊は、当時まだ他には見かけなかった中国東北地方の郷土料理を出す店として……というよりも一風変わった本場の大衆的な中華料理を提供する店として(後にナチュラルワインの第一人者、勝山晋作さんセレクトのワインもリーズナブルに楽しめる店としても)評判を取るようになった。
現在では神田の本店に加えて、「味坊鉄鍋荘」(湯島)、「羊香味坊」「老酒舗」(御徒町)、「香辣里」(三軒茶屋)、「吉味味坊」(足立区)、「宝味八萬」(代々木八幡)、「好香味坊」(学芸大学)、「香福味坊」(秋葉原)、「蒸籠味坊」(代々木上原)と計10の拠点を構え、郊外にはオーナーの粱宝璋(りょう・ほうしょう)さん自らが土に親しむ無農薬農園で野菜を作り、各店の料理や漬け物などに使われている。それらすべては2000年の味坊オープン以来、20年以上に渡って積み上げてきたものだ。
味坊集団はたくさんのものを積み上げてきた。中華でナチュラルワインを飲むというスタイルもそうだし、ざっくりと「中華料理」としてしか認識していなかった中国の地方料理をきちんと認識させてくれた。
その過程で「老虎菜(ロウフ-ツァイ)」というパクチーと青唐辛子のサラダなどでパクチーを浸透させ、何よりこの羊串でクミンや唐辛子のミックススパイスを振って食べる、大衆的な羊串の食べ方を浸透させてくれた。
味坊本店では最低5本、たいてい10本で頼むことになるので人数をかけたくなるが、2016年に御徒町へ展開した頃から2本でも注文できるようになり、少人数でもあれこれ楽しめるようになって欣喜雀躍としたのを覚えている。
その旗印であり、味坊の象徴がこの羊串だ。本店では「肩肉」、御徒町では「ショルダー」と呼ばれているが、もちろん同じ部位。味が深く、適度な弾力があり、しかもかたくない。
そう感じられるのはカットや串打ちの妙もある。家庭でラム肉の塊を買ってきて、同じようにおいしい羊串を仕込むのは至難の業なのだ。
しかも店では手早く大量に焼くことができる、適度に小ぶりななカットは家庭のグリルやフライパンでもおいしく楽しく焼き上げられる。
もちろん脇には同梱されているクミンや唐辛子、その他スパイスをブレンドした「味坊例のスパイスミックス」も忘れずに。大量に使いたい方には、スパイス単体での別売もあります。なんだか宣伝みたいになっちゃいましたが、おいしいものはみんなで共有するともっとおいしく、楽しくなるはず。