銀座ホステスが明かす「知らないと恥をかく」銀座の“暗黙のルール”

 大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。大阪で働いていたころは、ご来店くださるお客様のほとんどが大阪出身の方だったので、お相手の出身地を伺うことはあまりなかったのですが、銀座には他府県出身の方もたくさんいらっしゃいます。出身地に関する小ネタは初対面同士でも盛り上がれるので便利ですよね。

 その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信させていただきます。

◆粋でいなせなオトナの男は知っている銀座の暗黙のルール

 

 夏のボーナスが支給され、飲み会のあとに「もう1軒行こうか?」と、オトナの店へ繰り出す男性も多いのではないでしょうか。「敷居が高い」と感じる銀座ですが、ルールさえ熟知していれば恥をかくことはありません。銀座に限らず、夜のお店には暗黙のルールが存在しています。

 え? お金をたくさん使えばいいんでしょう? いえいえ。そういうわけでもございません。いくらお金をたくさんお使いになっても、ルールを知らないと「不粋なボウヤねえ……」と鼻で笑われてしまうんですよ。

 せっかくですから、皆さんにはカッコよく飲んで欲しいものです。

 そこで今回は「銀座の暗黙のルール」について解説したいと思います。夜遊びビギナーさんにはもちろんのことですが、ベテランさんにもぜひ読んでいただきたいです。夜の街の暗黙のルール。あなたはいくつご存じでしょうか。

 

◆クラブは“永久指名”制です

 銀座のクラブではお客様の担当のホステスを「係り」と呼びます。大阪・北新地でいうところの「口座」ですね。お客様は係りのホステスを1度決めたら、余程のことがない限りそれを変えることはできません。

 クラブは接待で利用されることも多い場です。お客様にとっては、接待するお相手の前でお財布を広げるのは非常に見栄えが悪い。そこで取り入れられたのが、売掛やツケと呼ばれるシステム「請求書払い」です。これは担当ホステスとお客様との間に信頼関係があって初めて成立するものです。お客様のその日の気分やご都合で係りをコロコロと変えられたらたまったもんじゃありません。そのため、クラブでは「永久指名」が基本なのです。

 また、係りのホステスは日頃からお中元、お歳暮、お土産などの経費をかけてお客様との関係を構築しています。気軽に指名替えをされ、今日の売り上げはAちゃんに、明日の売り上げはBちゃんに……なんてことになると、私たちのお仕事は成り立ちません。

 とはいえ、お客様が1人のホステスとしか遊べないのかというと、そういうわけではありません。連絡先は交換し放題でOK。誰とどこで同伴をしようと、シャンパンをご馳走しようとお客様の自由です。その売上は係りのホステスにチャリーンなので。

 私たちが、20代のピチピチの後輩たちを可愛がり大切にするのは、このような背景からです。

◆ホステスのLINEには返信しなくていい

 男性から「ホステスさんからこんなLINEがあったんだけど、これって営業かな?」と、相談されることがあります。可愛いですね。むしろ、20も30も年下の女の子が営業以外の目的で連絡をしてきたとしたら、そちらの方が怖いと思いますが。「大学の学費が払えなくて……」とか言い出しそうですよね。頂かれおじさんにならないように気を付けてください。南無。

 ホステスからのLINEは全て営業です。私たちは皆さんに繰り返しお店に足を運んでいただくためにご連絡をさせていただいております。

 よって返信は不要です。皆さんからのご連絡がなかったところで私たちが落ち込んだり、「嫌われてしまったんじゃないか」と心配することはありません。ただし、ご予約のご連絡でしたら、いつでも大歓迎です。

 元気なお顔を見せていただくことが何よりも嬉しいです。

◆同伴をしない食事に誘うのはご法度

 

 世間には「前もって言えば平日でもお店を休めるのかな? 普通にデートしたいです」など、アホなことをぬかすオヤジもいるようです。普通にデートってなんでしょうか? そういうのは相席居酒屋にでも行ってやって欲しいものです。

 私たちはホステスで、皆さんはお客様です。お友だちでも恋人同士でもありません。「ランチなら行けるよ♪」「土日ならいいよ♪」ですって? お家に鏡がないのでしょうか。

 ただ、日頃余程お世話になっているお客様、もしくは太客に育ちそうなお客様に対してのみ、ランチや土日のデートに応じてくれるホステスはいます。だとしても、誘うのは係りの女の子だけにしてあげて欲しいです。ヘルプ(係り以外の女の子)にとっては、ほとんどメリットがありませんので。

 なお、ヘルプに対して「前もって言えば平日でもお店を休めるのかな? 普通にデートしたいです」など、アホなことをぬかした場合ですが、漏れなく係りのホステスに報告されています。

◆同伴にもルールがある

 


 ほとんどのクラブホステスには同伴ノルマが課されています。ノルマを達成できないホステスは、お給料から罰金を天引きされてしまいます。そのため、彼女たちは一生懸命お客様に対して営業を行います。

 お金と時間に余裕のあるおじさまはバンバン同伴してあげてください。ただし、同伴にもルールがあります。

 まずは、時間厳守でお願いします。お食事に誘っていただき、普段は口にしないような高価なディナーをいただけるのは大変ありがたいことです。しかし、我々は力なき雇われホステス。出勤時間は守らなくてはいけません。同伴でも遅刻は遅刻です。遅刻して出勤すれば、お給料から罰金を天引きされてしまいます。

 お気に入りのホステスさんを困らせないためにも、時間厳守でお願いします。お食事をするお店を予約する際に、店員さんに「〇時までには出たいです」と、お伝えいただくことをおすすめします。

 次に、お店から徒歩圏内の飲食店を予約しましょう。先ほども申し上げました通り、我々は力なき雇われホステスです。遅刻は厳禁です。粋な男性はそれをご存じなので、お店から徒歩圏内にある飲食店を予約してくださいます。

 銀座ではなく、他の地域でお食事をする場合は、移動時間を考慮して、予約の時間やお店を出る時間を決めていただけますと助かります。

 最後に、待ち合わせ時間について。係りのホステスと同伴する場合でしたら、集合時間は何時でもかまいません。ただし、ヘルプの女の子と同伴する場合、待ち合わせの時間があまりにも早いのは可哀想です。15時に集合しようと、19時に集合しようと彼女の日給は変わりませんので。

 女の子にとってメリットのないことをやってしまう男性は、まだまだボウヤだと感じます。

◆タクシー代は多めに渡しましょう

 アフターを楽しみに銀座へ遊びにいらっしゃる方も少なくありません。アフターとは、お店の営業終了後に、お客様とホステスがお店の外に出かけて、食事などをすることです。お客様にとっては、お気に入りのホステスとプライベートな時間を過ごす、という特別感があって楽しいのでしょう。

 ただし、営業時間外のおもてなしなので、ホステスに時給は発生しません。いわば、サービス残業です。

 2、3時間で切り上げて、タクシー代を渡して気持ちよく解散するのが粋でいなせなオトナの男のマナーってもんです。

「家どこ? 5,000円で足りる?」「タクシーチケットでいい?」「家まで送っていくよ」こんなのはダメダメのダメです。タクシー代は残業代です。多めに渡すのがマナー。1万円から2万円が相場だと思ってください。

 ちょっと話はそれますが「お店で飲むと高いからアフターでシャンパンを飲もうよ」など、アホなことをぬかすオヤジもまれにいるようです。何度も言いますが、ホステスにとってメリットのないことをおっしゃるのは不粋です。ボウヤです。肝に銘じてください。

◆強がりな男性ってカッコいい

 

 今回は「銀座の暗黙のルール」について解説しました。これさえ読めばあなたも粋でいなせな銀座の男です。いえ、本当は書ききれないほど細々としたルールがありますが、それはまた別の機会にお話したいと思います。

 皆さんに嫌われることを恐れずに申し上げるとしたら、銀座は寸止め文化の街です。ホステスに大好き大好きと言い寄られても「はいはい……タクシー代は1万円で足りるかな? さっさと帰って寝なさいよ」と、クールに振る舞うのがカッコいいとされる街です。強がりな男性って素敵です。

 ここで鼻の下を伸ばして、タクシー乗り場でこれ見よがしのベロチューとかしているオヤジは非常にダサいです。

 今晩も節度を持って、楽しい夜遊びを。

<文/みずえちゃん>

【みずえちゃん】

1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989