2023年12月7日から二十四節気は「大雪(たいせつ)」に

雪が本格的に降り始めるころを表した節気です。

ひとつ手前の小雪ではふわりと舞っていた雪が大雪ではしんしんと降り積もる、そんな季節の変化がたった二文字で表されています。

新年の準備がはじまるのもこのころ。そして、次の冬至は早くも季節の折り返し地点です。

大雪の行事「事始め」

毎年12月13日はお正月の準備をはじめる「事始め」の日。

この日に行うのが家の中を清め、年神さまをお迎えするための大掃除「すす払い」です。もともとは旧暦の12月13日、鬼がこもって出歩かないとされる鬼宿日(きしゅくにち)に江戸城ですす払いが行われたことが一般にも広がりました。

他にも現在では少なくなりましたが、門松や薪といったお正月用の木々を山に採りに行く「松迎え」という行事があります。このことからお正月飾りは12月13日以降であればいつ飾ってもよいといわれています。

ちなみに相応しくない日もあり、12月29日は「二重苦(にじゅうく)」、12月31日は「一夜飾り」となり、急ごしらえでは年神さまに失礼にあたるということから避けられています。

「クリスマスリース」

クリスマスシーズンの飾りつけとして日本でも一般的になったクリスマスリースの由来や意味についてご紹介します。

起源

リースの起源は古代ギリシアやローマの冠と考えられています。平和や勝利の象徴とされるオリーブで作った冠はオリンピックの勝者に、愛や美を象徴するマートルの冠は結婚式に、勝利や栄誉を象徴する月桂樹の冠はギリシアの英雄や将軍が勝利の際に授与されました。

象徴

クリスマスはキリスト教徒にとってキリストの誕生と救世主の到来を祝う時期であり、永遠や希望を象徴するものとしてリースが飾られるようになりました。

円形の形は永遠を意味し、植物の向きを時計周りに並べて作ります。植物は冬でも緑の葉を保つ常緑の葉が多く用いられます。常緑樹は永遠や不滅の象徴とされ、永遠の命や希望を表現するためと考えられています。

リースに使われる植物

・コニファー類

モミ、ヒムロ杉、ブルーバード、ブルーアイス、クジャクヒバなどの常緑針葉樹がリースの土台としてよく使用されます。クラシックなリースはモミが主体ですが、さまざまな針葉樹を組み合わせたものやユーカリ類を加えたものなどもあり、リースにはさまざまなバリエーションやデザインがあります。

・ヒイラギ

別名「クリスマスホーリー」と呼ばれる常緑樹のセイヨウヒイラギ*は尖った葉先と血を連想する赤い実を付けることから、キリストのいばらの冠を象徴しているという説があります。また、ヒイラギの尖った葉は魔除けの意味も込められています。ちなみに節分に飾る「柊鰯」も同じく魔除けの意味が込められていますが、このヒイラギ**とセイヨウヒイラギは名前も葉の形も似ているものの、全く違う種類の植物です。

・実もの

松かさ、サンキライなどの実、ユーカリの実、姫リンゴ、コットンフラワーなどの実ものは豊作や豊穣を願う意味で使われます。

*セイヨウヒイラギ:モチノキ科 モチノキ属

**ヒイラギ:モクセイ科 モクセイ属

クリスマスの期間

日本では12月25日でクリスマスからお正月へとムードも飾り付けも一変しますが、欧米では1月6日の公現祭までがクリスマスです。

本来のクリスマス期間はともあれ、シンプルなデザインのリースであれば水引などをプラスするとクリスマスの後はお正月飾りとして長くリースが楽しめます。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。

東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など