元ラブホ清掃員が「悲鳴をあげてしまった」事件。ベッドの下に得体の知れない感触が…

 さまざまな事情を抱えた人たちが利用するラブホテル。一般的には、ドキドキ、ワクワクしながら、ときにはソワソワと向かう場所だ。

 実家がラブホ街にあり、学生時代はラブホで清掃員のアルバイトをしていた前田裕子さん(仮名・20代)。今回は、ラブホでのサプライズ演出や、思わず「悲鳴をあげてしまった」ちょっぴり怖い(?)体験について教えてくれた。

◆ラブホで“サプライズ”の演出はあるのか?

 

 現在は一般企業に勤める前田さん。ある日、レストランで“いきなり照明が消えてデザートが登場するサプライズ”を見て、ビックリした。そして、「そういえば、ラブホでもサプライズの演出は可能なのだろうか?」と思った。

 そこで前田さんは、母親がラブホ経営をしている幼馴染のAさんと、バイト先だったラブホのオーナーに聞いてみたという。

「市内の花火大会のとき、海側の最上階にある露天風呂付きの部屋にシャンパンを届けたことがある」とAさん。

 前田さんの実家があるラブホ街は、海抜が高い場所にあるため、比較的海側の部屋では夏の花火が見られるという。

「それが、サプライズ演出になるみたいなんです。確かに女性は喜びそうですよね」

 一方、元バイト先のラブホでは……。

「持ち込みのケーキやプレゼントをあずかり、言われた時間にインターフォンを鳴らして逃げるように去る演出は、したことがあります。ラブホは、お客様と会わないようにコソコソと仕事をしているので、遭遇しないように“素早く”がコツです」

 ただし、Aさんもオーナーも“同じセリフ”を付け加えたとか。

「でもうち、ラブホだからねぇー」

 ラブホでの過度なサプライズ演出は望まないでほしいようだ。

 

◆ラブホ特有のちょっぴり怖い体験


 どんな場所でも、少なからずホラー的な話はあるかもしれない。前田さんは、見えたり感じたりはしないそうだが、「誰かを見た」「足音を聞いた」といった事例を耳にしたことがあるそうだ。

「ラブホでは、スタッフが見たというより、周りから“うわさ話”として広まることが多いんですよね。レトロなラブホだと、『あのホテルは昔、事件があったらしい』『あのホテルは、お墓だった場所に建てたから出るらしい』といった感じで、“らしい”が付いてきます」

 ラブホのスタッフは、できるだけ客に会わないように行動する。そのため、前田さんもバイト中に廊下で人とすれ違うと、とっさに下を向き、そそくさと通り過ぎながら「出たー」と、まるで幽霊に遭遇したような反応を、心の中でしていたという。

 スタッフの中には、本当に悲鳴をあげてしまった人もいたと、前田さんは言う。 学生アルバイトのBさんも廊下ですれ違った際に叫んでしまったそうだ。

「すれ違いざまにお尻を触られて、まさかの出来事に声が出たみたいです。『向こうはカップルで来ていたんですよ! ヤバい! 顔を背けて早く通り過ぎなきゃってときに、男性に触られたから脳内が追いつけなくて』と、話していました」

◆すれ違いざまに悲鳴


 ちなみに、悲鳴をあげてしまったのはBさんだけではない。

「ベテランパートのお姉さん2人は、単独ではなく2人で悲鳴をあげたらしいです」

 お客様の支払いが完了し、チェックアウトした部屋に清掃に入ったときに事件は起こった。ベッドのシーツを剥がし、新しいものに取り換えようとしたが……。

「いつもの感触ではないものがベッドの下にあり、覗き込んだそうです」

 なんとベッドの下には、男性客が潜んでおり、2人は思わず悲鳴をあげたという。

「何してるんですかーーー!」

 慌ててオーナーを呼び、男性客に真相を聞いたそうだ。

「その男性は、2人を襲おうとか、何かを盗もうとか考えていたわけでありませんでした。一緒に来ていた方とけんかになり、身ぐるみ剥がされて着替えやスマホまで取り上げられ、先にホテルを出ていかれたそうです」

 その後、オーナーは一緒に来ていた客に連絡し、洋服などを持ってきてもらったという。

「男性は何度も謝りながら、ラブホを去って行ったようです」

 前田さんはこの話を聞いて、「ラブホの1番のホラーは人間だ」と思ったとか。

<取材・文/資産もとお>

―[ラブホの珍エピソード]―