大人のための小田原旅 アートと自然、食を楽しむ癒やしのひととき

歴史と自然が織りなす美しい街、小田原。都内からのアクセスがよく、東京からは新幹線で約30分、小田急線やJR東海道線でも1本。小田原城をはじめとして多くの観光名所があり、2023年は年間832万人もの観光客が訪れている。気軽に行ける小田原で、心を癒やし特別なひとときを過ごせる大人の旅スポットを紹介する。

壮大なランドスケープ「小田原文化財団 江之浦測候所」

小田原市江之浦地区は急峻(きゅうしゅん)な箱根外輪山を背にして相模湾を望み、類いまれなる景観を保持している貴重な自然の遺産である。この地にあるのが、現代美術作家の杉本博司氏が敷地全体を設計した壮大なランドスケープ「小田原文化財団 江之浦測候所」だ。


甘橘山 春日社 ©︎小田原文化財団

アートの起源でもある「天空の中で自身の位置を確認する作業」を体験できる江之浦測候所は、「人の最も古い記憶」を現代人の脳裏によみがえらせるべく考えられている。日常の喧騒(けんそう)を忘れ、自分に立ち返り、ゆったりとした時間を過ごすのに最適なスポットだ。

施設は、杉本の代表作「海景」が展示されるギャラリー棟、石舞台、光学硝子(ガラス)舞台、茶室、庭園などから構成されている。各建築物は、日本の建築様式及び工法の各時代の特徴を取り入れ、日本建築史を通観することができ、現在では継承が困難になりつつある伝統工法を再現している。季節ごとに変わる景観に心を揺さぶられ、訪れるたびに新しい発見があるだろう。

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絵画のような海景に出合える「御幸の浜」


御幸の浜 ©︎小田原市観光協会

小田原駅から徒歩20分、小田原城からは徒歩10分ほど。西湘バイパス高架下のトンネルを進んでいくと、「御幸の浜」の海景が見えてくる。暗闇とその奥に光る海のコントラストはまるで絵画のよう。ここは市制80周年の節目に小田原市で行われた「未来に残したい小田原の景色」の投票で1位になっている海岸で、直近ではドラマのロケ地としても有名だ。

1873年(明治6年)に、明治天皇と皇后が地引き網の見学に訪れたことをきっかけにその名が付いたという。海岸からは伊豆半島や三浦・房総半島も見渡せるので、潮風を感じながら散歩するもよし、夏は海水浴も楽しめるため多くの人でにぎわう。

周辺には、歴史的なスポットや地元の特産品を楽しめるお店も点在しており、酒匂川花火大会(8月3日)、アートフェア(小田原市内の小学生が作った小田原ちょうちんのライトアップ/9月26日~)、ちょうちんまつり(10月14日)、一夜城まつり(10月27日)とイベントも目白押し。観光の合間に御幸の浜でゆったりと過ごすのもおすすめだ。