保険の必要保障額はいくら必要?考え方と計算方法をわかりやすく解説

保険加入をする際に、自分にとって適切な必要保障額について悩んでいる方も多いかと思います。

保険金額に過不足があると、万が一のことがあった時に経済的に苦しくなったり、保険料の負担が重くなったりする可能性があります。

この記事では、必要保障額の計算方法を詳しく紹介します。

ただし、必要保障額の計算はかなり複雑なため、適正な金額が知りたい場合はFPへ無料相談することをおすすめします。

必要保障額の考え方と計算方法

必要保障額とは、万が一の時に遺された家族に必要なお金(支出)から得られるお金(収入)を差し引いた金額です。

支出に対して収入が不足する分を死亡保険で補うという考え方が一般的です。

例えば、遺族に必要なお金が1億円で、得られるお金が5,000万円の場合、必要保障額は5,000万円です。

家族構成や収入、働き方などによっても必要保障額は大きく変わるため、必要保障額を求める際は実際の生活状況をイメージしながら、シミュレーションすることが大切です。

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必要保障額のシミュレーション

家計を担っている世帯主が亡くなった場合の、必要保障額をシミュレーションしていきます。

シミュレーションの前提条件は以下の通りです。

必要保障額シミュレーションの前提条件

世帯主(夫):40歳 会社員 平均報酬月額30万円

配偶者(妻):36歳 パート 平均報酬月額5万円

子ども:8歳

住居:賃貸 15万円/月

また今回は、子どもが18歳(高校卒業まで)になるまでの必要保障額を計算します。

遺された家族の生活費

前提条件における、遺された家族の生活費の相場は以下の通りです。

※1 参考:2019年全国家計構造調査 15ページ|総務省統計局※2 参照:(2)学校種別の公私比較|結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|文部科学省
    参照:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令|e-Gov法令検索
    参照:令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について|文部科学省※3 出典:「第6回 お葬式に関する全国調査」(株式会社鎌倉新書「いい葬儀」)

各項目について、公的データを用いながら解説していきます。

生活費

後ほど計算する住居費と教育費を除いた生活費を計算します。

総務省統計局の「2019年全国家計構造調査」によると、母子世帯の平均消費支出は19万6,379円です。

ここから住居費と教育費を除いた生活費は、以下の計算式で求められます。

100% -(住居費14.6%+教育費4.6%)=80.8%

生活費:19万6,379円×80.8%=15万8,674円

子どもが18歳になるまでの10年間の生活費:15万8,674円×10=158万6,740円

教育費

8歳の子が高校を卒業するまでにかかる学習費を計算します。

なお、ここでは高校まですべて公立学校に進学すると仮定します。

進路別に見た子どもの学習費総額は以下の通りです。

※調査データを参照して幼稚園・中学校・高等学校は3年間、小学校は6年間合計で計算参照:(2)学校種別の公私比較|結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|文部科学省参照:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令|e-Gov法令検索参照:令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について|文部科学省

小学校・中学校・高校それぞれの学習費は以下の通りです。

小学校:211万5,396円 ÷ 6年間 × 4年間(8歳を小学2年生とし残りの4年間)=141万264円

中学校:161万6,397円

高校:153万8,913円

これらを合計した「141万264円+161万6,397円+153万8,913円=456万5,574円」が学習費の総額になります。

住居費(家賃)

子どもが18歳になるまで、現在と同じ家に住んだ場合にかかる住居費は以下の通りです。

住居費(家賃):15万×12ヶ月×10年間 =1,800万円

葬儀費

葬儀費用を計算します。

鎌倉新書が2024年に実施した「第6回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀費用の平均は約118.5万円です。

そのため、今回のケースでも118.5万円とします。

支出を補う手段

支出を補う手段としては、以下のような項目が挙げられます。

参照:令和5年(2023年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](統計表6)|金融広報中央委員会
参照:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
参照:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
参照:は行 報酬比例部分|日本年金機構

各項目について、公的データを用いながら解説していきます。

貯蓄・配偶者の収入

金融広報中央委員会の「令和5年(2023年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](統計表6)」によると、世帯主が40代の世帯における平均預貯金額は361万円です。

また、子どもが18歳になるまでに得られる配偶者の収入は以下の通りです。

5万円 × 12ヶ月 ×(18歳−8歳)= 600万円

これらを合計すると「361万円+600万円=961万円」になります。

遺族年金

遺族年金で支給される金額の目安は以下の通りです。

参照:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構参照:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構参照:は行 報酬比例部分|日本年金機構※令和6年度の年金額で計算しています。また、世帯主は昭和31年4月2日以後生まれで、厚生年金には平成15年4月以降に加入したものとしています。※端数は四捨五入※すべての条件を考慮しているわけではないため、実際の年金支給額は年金事務所に確認してください。

上記の表をもとにすると、世帯主は平均報酬月額30万円で子どもが1人であるため、毎月12.1万円の遺族年金が支払われます。

子どもが18歳になるまでに支払われる遺族年金額は、12.1万円 × 12ヶ月 ×(18歳−8歳)=1,452万円です。

会社からの保障

今回のシミュレーションでは、会社からの保障は一切ないものとします。

ただし、勤務先によっては遺族に対して死亡退職金や弔慰金が支払われるケースがあります。

また、福利厚生制度の一環で総合福祉団体定期保険に加入している場合は、死亡保険金を受け取れる場合もあるでしょう。

「総合福祉団体定期保険」とは?
役員・従業員の遺族の生活保障を目的として加入する保険のこと。法人が契約者となり保険料を負担する。

必要保障額の目安

今まで計算してきた、「遺された家族の生活費」から「支出を補う手段」を差し引くことで必要保障額の目安を求められます。

今回のケースにおける必要保障額は「2,533万7,314円 – 2,413万円= 120万7,314円」です。

必要保障額の考え方や計算方法を細かく解説してきましたが、自分で考えてもわからないという方もいるかもしれません。

そんな時は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみてはいかがでしょうか。

無料で相談できるので、自分に合った必要保障額を知りたい方は気軽に利用してみてください。