蒸し暑い日本の夏。外出を避けることを勧められるほど、外に出るには厳しい季節です。それでも、早朝や夕方以降は暑さも落ち着き、庭仕事もできる時間帯。一仕事終えた「ハッピーアワー」に、リラックスする庭時間を過ごすのも楽しいものです。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、最近の庭環境の変化と、ハッピーアワーの楽しみについてご紹介します。
蒸し暑い夏の日々
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Itt, Gudrun
暑くて湿度の高い日本の夏。じめじめとした梅雨から続いて、体力を奪われる毎日が続きます。
もっともガーデナーとしての視点から言うと、植物の生育がよくなる高い気温は常に嬉しいところ。しかし、湿度の高さは多くの問題をもたらします。強風や突然の大雨も注意しなくてはいけません。また、夏場は花々の生育が旺盛になるだけでなく、招かれざる雑草や虫たちの活動も活発になります。庭や菜園でも、病害虫による被害がますます発生しやすくなります。
この季節の屋外では、できるだけ日陰や風通しのよい場所など、少しでも涼しく楽に呼吸できる場所を探して動きましょう。日陰のない歩道では、日傘やミニ扇風機があれば少しだけ楽に過ごせますが、こんな環境では、木々が作り出す木陰の下は、まるで砂漠のオアシスのように、小さな希望になります。
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住環境は変化の連続
鎌倉方面から見下ろした住宅街。Dave Hansche/Shutterstock.com
私が暮らす、太平洋にほど近い神奈川県の湘南地域では、海から吹き付けてくる風が暑さをしのぐために大いに助けになります。この辺りには、小さな庭付きの2階建ての家がたくさんありますが、こうした庭の多くは単に駐車場として使われています。ガーデニングを楽しむ家では、シンボルツリーが1本と、時に小さなプランターや花鉢が家の周りに並べられているのが定番です。
最近になって、こうした町の情景の変化をよく感じるようになりました。例えば、我が家から約50mの場所では、新しい住宅が建ちました。古い家のある広い区画は再開発され、そのために解体業者が何週間も前から古い家を解体して、庭の植物や木を根こそぎ引き抜く作業に追われています。ショベルカーの絶え間ない騒音と作業者の声が聞こえてきます。
樹高12mほどもあり、青々と茂っていた見事なマツの木もなくなってしまいました。その高さから、周囲の建物にも木陰を作ってくれていた木です。広い芝生の庭の周囲に40年以上育っていたという低木や小さな木々もなくなりました。今では見通しがよくなってほかの家も見えるようになりましたが、こうした変化により、まったく新しい景色に変わるなど、周囲の家にも影響が出ています。
日本の夏の風物詩、打ち上げ花火。Manabu Kato/Shutterstock.com
我が家のバルコニーからも、江の島や三浦半島の明かりが見えるようになり、先日は2階から江の島の花火大会を楽しむこともできました。けれど、視界を潤す木々はもうありません。寂しさと喜びが相まって、ちょっと複雑な心境です。
ともかく、起こった変化は変えられませんし、この先こうした環境が続くかも分かりません。3、4カ月もすれば、新築の家がいっぱいに立ち並んでいるかもしれませんね。