先月、柴犬のどんべえが虹の橋を渡った。18歳の誕生日を迎える直前だった。子犬のときから、パートナーからたくさんの愛情を受けてたくましく育てられ、最後は彼の腕の中で犬生を全うした。

えいたは、どんべえが時々見せる予測不能な行動に戸惑いながらも、程よい距離感を保ちながら、1年半ほど一緒に過ごした。2匹がリビングでのんびりひなたぼっこをする姿を見ているだけで、気持ちがなごんだものだ。

どんべえは16歳の時に”前庭疾患”という平衡感覚を失う病気にかかり、しばらくは歩くことも食べることもままならなかった。けれど、どうにか乗り越えて、再び散歩ができるまでに回復。17歳になっても、1時間以上歩くこともあり、元気に小走りする姿には何度も感嘆させられた。

今年に入ってからは、持病の慢性腎不全が進み、介護が必要になってしまった。それでもおいしそうにご飯を食べ、歩ける距離はすっかり短くなってしまったけれど、おきまりの散歩も欠かさなかった。低空飛行ながらも、どんべえの老犬生活はゆっくりと続いていくように見えた。ボケもはじまり、耳も遠くなって、ちょっときょとんとした表情がつぶらな瞳を際立たせ、愛らしさは増していくばかりだった。

時々、ふと、どんべえがいないことが不思議に思えて、戸惑ってしまう。寂しいなぁ。

えいた えいた

ファッションブランド〈LOISIR〉デザイナー・前田敬子さんと暮らすえいた。ハンサムな名前の由来は永代橋(えいたいばし)の近くでコールタールまみれになって遊んでいるところを保護されたことから。空気は読めないと、ボランティアの方からもお墨付き。すでに壮年猫なのに相変わらずやんちゃで食いしん坊。趣味で段ボールアートを作ったり、上腕二頭筋を鍛えてみたり……。以前本誌で連載していた『まこという名の不思議顔のねこ』に登場していたまこは姉猫。兄猫しろたろとまことの暮らしを経て、現在は妹猫にんにんと同居中。本誌2022年5月号にて、わたなべとしふみさんによるえいたの紹介イラストを掲載しています。