7月3日、ついに新札が発行されました。その数日後、いつものようにホールへ行って、いつものように勝てなかったものの、ちょっとだ特殊景品をゲット。そして景品交換所へと行ったら、奥から出てきたお札に違和感が……。まさか新札との初対面がパチ屋の近くにある景品交換所になったとは筆者らしいなと思ってはみたものの、お会いできたのは渋沢栄一でも津田梅子でもなく、北里柴三郎だけでした。
◆新台をしっかり導入している店舗は新札対応も早い
新札発行後にいくつかホールをまわってみました。大手チェーンでなくても台数がそれなりにあって、最新機種もしっかり導入しているようなところは、どこも早々に新札に対応しているという印象です。
こうしたホールの店長に話を聞いたところ、かなり前から準備していたようで、それでも「ウチみたいな1000台規模になると設備業者の作業は1日で終わらず、3回くらいに分けての作業になった」とのこと。
基本的にホールは組合単位で決められた休日以外は休みたくないもので、新台入替などの作業は閉店後に行うのが通例。よほど大規模な工事があれば仕方なく数日間の休業もありますが、台間サンドなどの更新で休むことはありません。
その限られた時間のなかで、また設備業者の人的リソースも足りないそうで、やはり全部を新札対応にするには何回かに分けての作業が必要になるのでしょう。
さらに新札発行日までに対応が完了すれば「発行前に作業が終わってラッキーでした」(前出店長)というレベルで、設備業者も大忙しらしく、発注していてもまだ更新作業が終わっていないホールもあるそうです。
◆お盆休み後に休廃業が増加する可能性も
こうしたホールでは店員に申し出て、新札を旧札へと両替してもらう対応をしなくてはなりません。でも、そういうところのすべてが設備業者待ちかといえば、そうではない可能性も……。
ここ数年、売上げや粗利などあらゆる数字が落ち込む状況で、年末年始やゴールデンウィークといった書き入れ時が終わったタイミングです。またテナント更新などのタイミングをきっかけに休廃業するホールが目立ちましたが、新札への対応も多大な設備投資が必要になるだけに、更新を見送って直近にあるお盆休みという書き入れ時を終えたところで休廃業を……というホールも少なくないのではないでしょうか。
すでにゴールデンウィークが終わってから新札発行の直前というところで休廃業したホールも目立ちましたが、ここが最後の休廃業ラッシュになるのかなと。
◆手作業で両替する店は危ない理由
設備の更新を完了したところ、また遅ればせながら近々で設備を更新するホールは、きっとこれから先も営業を続けていくんだろうなと考えられます。でもそうではない、いつまでも手作業で新札を旧札へと両替をしているところは、いつ休廃業してもおかしくないでしょう。
個人的にはそんな寂れたホールが大好きですが、続ける気がなければ出玉に期待できませんから、そういったホールにありがちなレア台でも目当てにしなければ、なかなか足が向かいません。
そしてこれで淘汰の嵐がひと段落すればいいのですが、ファン人口が落ち込んだままだと業界自体に未来はなし。コロナ禍前の2019年のホール数はホール団体によると9639軒、それが今では6000軒代と実に約2/3にまで減っています。
これで底を打ったのかどうか、さらにスマスロ人気やスマパチのテコ入れで再び数を増やしていくのか。はたまた以前に筆者が本稿で述べた行政側の意向という5000軒にまでに数を減らすのか。業界関係者はもちろん、いちファンの立場でも注視せざるを得ないかなと思います。
文/キム・ラモーン
【キム・ラモーン】
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。