料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目1月のテーマは、「しっとりみずみずしい”冬の白”」。3つのレシピを紹介します。
寒い日が続く年の初め。白菜やカブなどの冬野菜は、まるごと食べて栄養を摂りましょう。
しっとりみずみずしい「冬の白」。
先生:こんにちは、料理家の渡辺有子です。今月から『アンド プレミアム』誌上で料理教室を始めることになりました。直子さんは、こういう教室に参加するのは初めて?
生徒:有子先生こんにちは! あるにはあるんですが、食べて満足して……終わってしまいがちで。なので、有子先生の教室では本気で腕を磨いて帰るつもりです!
先生:その心、しかと受け止めました。それではさっそく頑張りましょう。
生徒:今月のテーマは「冬の白」ですよね。
先生:旬の食材を味わうことを大切に、この時季おいしくなる白い野菜を使った3品を考えました。まずはメインの「鶏と白い野菜の煮込み」を仕込むところから始めますよ。
生徒:実はカリフラワーと里芋っていまいち上手に扱えなくて。いつも適当なんです。
先生:カリフラワーは芯に切れ目を入れて包丁で割くように切るといいですよ。里芋は洗って乾かしておくと扱いやすくなります。皮はしっかり厚めにむいてください。
生徒:この切り方だとカリフラワーの穂先がポロポロほぐれなくていいですね。
先生:鶏肉はきちんと掃除します。皮と身の間の黄色い脂は臭みの原因になるので。
生徒:下ごしらえした鶏肉と野菜を鍋に入れて粗塩をふって蒸すだけ。簡単すぎます!
先生:5分経ったら水を加えます。フタをしてさらに20〜30分ほど蒸すので、その間に前菜とサラダを作りましょう。まずは「冬の魚とカブとユズのカルパッチョ」から。冬のカンパチ。最高ですよねぇ〜。脂ののった魚のほうがおいしく仕上がるので、ブリでもよく合いますよ。
生徒:このカルパッチョは、「たっぷりのカブが主役」と言っても過言ではないですね。
先生:冬の野菜の甘さとみずみずしさは格別なので、生のおいしさを味わってください。さて薄切りにしたカブをボウルに入れて塩をまぶします。ぎゅうぎゅうもんじゃだめなんです。あくまで塩はなじませるだけ。
生徒:えっ! 塩もみって言うのに!?
先生:もむと水や苦味が出るので、塩を加えたらボウルを振るぐらいで大丈夫。
生徒:はーっ。勉強になります。
先生:ボウルの中に、茹でたニンニクをつぶしたものと香菜の茎、ユズ果汁とナンプラー、オリーブオイルを加えてよく混ぜます。
生徒:塩気はナンプラーでつけるんですね。
先生:あとはお皿に刺身を並べて、水気をきったカブを上に盛り、先ほどのソースをまわしかけたら完成です。ユズの皮も散らしてね。
生徒:おもてなし料理によさそう!
先生:口だけじゃだめなのよ(笑)。さあ最後は「白菜とリンゴの生姜サラダ」。ポイントは白菜の切り方。繊維に沿って切るとシャキシャキの食感になります。お酢は「千鳥酢」など酸味が柔らかい米酢が合いますよ。
生徒:オイルは入れないんですか?
先生:お酢と塩だけでシンプルに仕上げます。味のつなぎ役は細切りの生姜。これらと白菜をざっと混ぜ、薄切りにしたリンゴと細切りにしたドライイチジクを和えれば完成です。
生徒:あっという間に作れちゃった。
先生:ちょうど「鶏と白い野菜の煮込み」もできましたよ。さあ盛り付けて食べましょう。
生徒:なんだか1回目ですでに料理上手になった気分です。では、いただきま〜す!
(広告の後にも続きます)
1.冬の魚とカブとユズのカルパッチョのレシピ
ボウルの中で塩をしたカブは、上下に2~ 3 回ボウルを振って十分なじませる。
ユズは皮も果汁も活用。果汁を搾るときは茶こしを使って種をキャッチ。
〈材料〉2〜3人分
カンパチ(刺身)…200g
カブ…小さめ3個
黄ユズ…1/2個
ニンニク…1/6かけ
香菜の下部分… 1茎分
塩…少々 ナンプラー…小さじ1
オリーブオイル…大さじ1~大さじ1と1/2
〈作り方〉
1.刺身は少し厚みをもたせて切る。カブは皮をむき薄切りにし、塩でなじませておく。
2.ニンニクはさっと茹でて水気を拭き、ボウルに入れてフォークの背でつぶす。香菜の茎を小口切りにしてボウルに入れ、ユズの果汁を搾り、ナンプラーとオリーブオイルも加えよく混ぜる。
3.皿に刺身を並べ、水気をきったカブをのせ、2のソースをまわしかける。ユズの皮を細切りにして散らす。