長く使える製品に注目 よりサステナブルなアイテムを

以前、医療従事者として働いていた際には「安い・使いやすい・汚れてしまっても諦められる」という部分に重きを置いて文房具を選んでいました。現在では丁寧に使えば長く使い続けることができ、頑丈で飽きのこないシンプルで機能性の高い物を好むようになりました。
そう思えるようになった、大きなきっかけは万年筆に出会ったことです。私がお世話になっている万年筆の神様ことThe Nib Shaperの長原幸夫さんに「最大のメンテナンスは毎日使うこと、自分だけの書き味に育てる楽しみがある」ということを聞きました。今までは壊れたら捨てるという選択肢しかなかった私に、大きな衝撃を与えてくれました。ペン先を調整してもらった万年筆の書き味に今ではすっかり虜になっていて、特にパイロットコーポレーションの「キャップレス」シリーズのシンプルな外見と、ノックや繰り出しで使い始められる機能性の高さが手帳との相性もよく重宝しています。

最近はインクも豊富な種類がありますが、手帳と相性の良いブルーブラック系やブラックを愛用しています。パイロットの「強色」、martさんの「【   】 ーunknownー」など…最近では大手文具メーカー以外にも個人作家さんのアイテムも増えてきているため、色の豊富さはもちろんですが、容器の美しさなど文房具愛好家たちもうれしい悲鳴が止まらない状態だと思います。
そんな私ですが、朝仕事を始める前にお気に入りの万年筆でジャーナリングを行うようにしています。ジャーナリングとは書く瞑想とも呼ばれ、自分自身を内省することができるとても大切な時間の一つになっています。無意識に眠らせていた自分の気持ちを書き出すため、摩擦が少なくぬらぬらと書き進められる万年筆が最高の相棒だと思える瞬間です。この時間があることで、一日のスタートが心地よいものになります。

他にも、最近は存在している文房具をワンランク上の使い心地にするなど、カスタマイズすることができるアイテムに魅力を感じます。海外製のボールペンを購入した際に、インクフローが気になったりすることがあり、できるなら国産メーカーの替え芯を使いたいと感じることがありました。しかしそこで発生するのはペン芯の規格の問題です。4C規格のものであれば、互換性があるため国産メーカーに変更することも可能ですが、好きな書き味の替え芯に対応していない場合があります。そんな時に便利なアイテムがUNUS PRODUCT SERVICE.の「ボールペンリフィルアダプター」です。これを使うことで、軸が好みの海外製ボールペンに国産メーカーの替え芯を使用することもでき、筆記を大変快適にすることができます。


逆に、書き味が好みの筆記用具をカスタムするアイテムもあります。ヒカリの「LUCE Pen Fit」です。本革製のペンカバーで、既存のペンに被せることで握り心地と経年変化を楽しめるよう見た目をカスタムし、ペン本体の傷や汚れを防ぐことができます。ネックストラップを取り付けるDカンも付属しているため、すぐに使えるという機能性も向上します。既存商品をさらに便利に機能的にカスタムする楽しみも、たくさんの人に認知されてほしいと最近ではしみじみと思っています。

最後に、私は文房具が今後も多くの人に愛され、さらに発展していくことを心から願っています。文房具は単なる道具以上の存在で、日常に彩を加えてくれる大切なパートナーです。私のような文房具愛好家のSNSでの発信が、より多くの人に伝わり、文房具の魅力を広めることに貢献できたらうれしく思います。

※(編集部注)本記事は「旬刊ステイショナー」2024年7月25日号掲載の「<寄稿>「ゆず文房具店」が伝える文具の魅力」を編集して掲載しています。

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プロフィール


ゆず店長
1989年生まれ、宮崎県出身、鹿児島県在住。「ゆず文房具店」の店長として、文房具、手帳の魅力を広める事をモットーに活動中。現在登録者2万人。文房具好きはほぼ年齢、手帳歴は13年目。自身の生活を穏やかに楽しく送るための手帳術を模索中。手帳制作監修が夢。
YouTubeチャンネル「ゆず文房具店」(https://www.youtube.com/@yuzu_stationery_store)