介護費用は平均どれくらいかかる?
公的介護保険制度で一定額まで原則1割で介護サービスが受けられるとはいえ、一定の負担が生じ、また介護保険対象外の支出も想定されます。生命保険に関する全国実態調査(生命保険文化センター、2021年12月発行)によると実際の介護で要した平均費用と期間は以下のようになっています。
一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など):74万円
介護に要した費用のうち、月々の平均費用:8.3万円
介護を始めてからの平均期間(介護中の場合は経過期間):61.1カ月(5年1カ月)
あくまで平均で、つぶさに調査結果に目を通しますと、平均から大きく乖離しているケースも少なくありません。介護が必要な人・介護する側それぞれの状況、自宅の状況、地域の状況など様々な要因が影響するため参考としてご覧ください。
一時費用は74万円となっていますが、これもその最たる例で、全く必要なかったという人も一定数います。一方で、数百万円かかったという人も。あらかじめ想定することは難しいので、この平均値を1つの目安に、いざという時に備えて貯めておきたいところです。
月々の平均費用は8.3万円。地域にもよりますが家賃並みの負担となります。先に紹介しましたように50代で親などの介護と向き合う人が増えてきますので、子供の学費と住宅ローンなども視野に入れ、資金計画を立てておくと良さそうです。例えば、住宅ローンはなるべく早く完済できるように30代や40代からやりくりするといった具合です。
介護の平均期間は5年1カ月となっていますが、これは介護中の場合の経過期間も含まれています。つまり、実際はもっと長く介護と向き合う人も多いでしょう。その間の経済面、そして精神面など様々な問題に直面する可能性があります。「老老介護」という言葉もありますが、介護する側も高齢者となり、肉体的にも大きな負担になることも考えられます。
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無理なくできる範囲で事前準備を
筆者は数多くのFP相談を受けてきました。その中でも保険の見直しはFP相談の代表例です。これまでの保険相談を振り返りますと「死亡した場合」、「入院した場合」、「がんになった場合」とそれぞれの不安やリスクを口にされる人は非常に多いのですが、「介護する・されることに備えて」といった保険加入や見直し理由を挙げる人はほとんどいません。
また近年はNISAやiDeCoに興味を持つ人が多く、そのような相談が増えています。みなさん圧倒的に「老後の生活費」を意識していますが、やはりここでも「介護」というキーワードが出てくる人はほとんどいません。
まずは介護について知り、意識を高めることがビジネスケアラーになった際、仕事と介護を上手に両立できることにつながりそうです。