日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のデザイナー、志村紀子がご紹介いたします。
2024年8月7日から二十四節気は立秋に
秋のはじまりを表す節気が立秋です。実際の季節感は真夏ですが、暦の上ではここからが秋。少しずつ秋の気配が深まっていくことへのサインともいえる区切りの節気です。
今回は生薬などにも使われてきた、「サンキライ」がテーマ。サンキライはツル性の実もので、5月から10月ごろまでは緑~黄色の実、クリスマスが近づいてくると、落葉して真っ赤な実を付けたものが出回ります。
ここでは、この季節ならではの緑の実と葉が付いたサンキライを使った、花あしらいをご紹介します。
シルエットを活かす
カクカクと曲がりながら伸びたツルと、放射状についた可愛らしい実がサンキライの魅力。さらに、夏前後の枝にはスイカのような丸い葉が付いていて、ボリューム感も満点です。
この美しいシルエットを活かすために、高さのある花器に一枝をあしらいました。
枝葉がテーブルにこぼれ落ちるように生けると、ダイナミックな雰囲気が出ますし、全体も安定します。
サンキライの枝ぶりをよく見て、自然に流れる方向に生けるとうまくいきます。
シルエットの違うサンキライを、足付きの花器にあしらってみました。同じサンキライでも枝の付き方はさまざまなので、雰囲気が違って見えるかと思います。
こちらの花器では、水を少な目にして、花器の中の実も含めて楽しめるような生け方をしました。
黄緑色の「ジニア」を加えてみました。花が主役というよりも、サンキライも花も一体化するようなイメージです。
サンキライが動いてしまうようであれば、この写真のように麻ひもなどを使って、花器に結び付けてしまいましょう。
ジニアを深い紫が美しい「ルリタマアザミ」に変えると、さまざまな丸い形が響きあって、楽し気な雰囲気に。
組み合わせる花を選ぶときには、色に目が行きがちですが、植物の形を意識して選んでみると思いがけない魅力に気づくことがあります。
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ユニークな花留め
生花材料として販売している「姫リンゴ」をガラス花器の中に入れて花留めにしました。
見た目より手順は簡単で、水を入れた小さな瓶を入れて、そこにサンキライの枝を挿すだけです。ここでは黄緑色の姫リンゴを使いましたが、クリスマスのシーズンなどであれば、赤い姫リンゴと赤く色づいたサンキライを組み合わせるのも素敵です。
もちろん、こうした方法はサンキライ以外にも使えますので、お好みの花を使ってお試しください。