スパティフィラムの育て方のポイント

用土

用土は観葉植物用の培養土のほか、草花用の培養土でもよいでしょう。自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)7:ピートモス 3 :パーライト 1 などの割合で混ぜるとよいでしょう。

水やり


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湿り気のある土壌を好みます。基本的には用土の表面が乾いてから水やりしますが、夏の乾燥が激しい時期は水切れに注意。やや根詰まり気味の株や購入したばかりの鉢植えは、夏の晴天が続くときなどは毎朝与えてください。また鉢を池や水がめなどに漬けたまま育てる腰水栽培も可能で、水やりの手間が省けておすすめです。

肥料

肥料が不足すると花も少なくなるので、4~10月に肥料が切れないように注意。鉢花用の液体肥料を週に1回、水やり代わりに、またはリン酸がやや多めの緩効性化成肥料を規定量与えてください。

注意する病害虫

病害虫の発生は少ない植物ですが、室内で育てていると乾燥気味になり、ハダニが発生することがあります。こまめに霧吹きをして湿度を保つか、戸外に出すと予防できます。

葉が密生して風通しが悪いとカイガラムシが発生します。いったん発生すると薬剤が効きにくく厄介なので、混み合っている根元から切って間引き、カイガラムシはブラシなどでこすり落としてください。そのうえで薬剤散布をして防除するとよいでしょう。

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スパティフィラムの詳しい育て方

植え付け・植え替え


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成長が早く根づまりしやすいので、1~2年ごとに植え替えてください。用土は観葉植物用の培養土のほか、草花用の培養土でもよいでしょう。自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)7:ピートモス 3 :パーライト 1 などの割合で混ぜるとよいでしょう。

日頃の手入れ


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花が終わるにつれて、仏炎苞が緑色に変化していきます。早めに根元から花茎を切ったほうが繰り返し、よく開花します。

冬越し


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成株を乾かし気味に管理すれば、最低0℃近くまでの寒さに耐えますが、葉はひどく傷みます。葉を傷めることなく冬越しするには、最低温度を8℃以上に保つようにしてください。

11月までに室内に移動し、水の与えすぎに注意しながら管理しましょう。戸外に出す場合は、5月に移動するとよいでしょう。

増やし方


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5~7月に、株分けで増やすことができます。根詰まり気味の株は2~3株にナイフなどで切り分け、同じ大きさの鉢に植え付けます。株を細かく分けると生育が鈍り、花も長期間咲かなくなるので注意してください。

また、株分けと同時に、外側の古い葉や傷んだ葉を2~3割間引くように切り、風通しよくするとよいでしょう。

スパティフィラムのユニークな育て方


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スパティフィラムは、ハイドロボールやセラミスなどの資材を使った水耕栽培にも適した観葉植物です。ただし根の成長が旺盛で、比較的早く容器いっぱいに根詰まりしてしまうので注意してください。

一方、スパティフィラムは根だけでなく葉が水に大部分浸かっても問題ありません。容器と水だけで育てる水挿し栽培がおすすめです。水が日光で高温にならないように配慮しつつ明るい日陰に置けば、花も咲きます。一番労力がかかる水やりの手間も大幅に省けるでしょう。

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スパティフィラムのお悩みQ&A

Q:花をよく咲かせたいが、どのように日光に当てたらよいか分からない

A:夏が一番葉焼けしやすいので、温度が上昇するにつれて暗い場所に移しますが、葉焼けしない範囲で可能な限り明るい場所に置くことが大切です。一日の中では朝のほうが葉焼けしにくいので、目安としては、冬は午前中だけ日光が当たる場所に。春には、暖かくなるにつれて朝だけ日光が当たる場所か、薄いカーテン越しの日光に当てるようにします。夏は直射日光が当たらない明るい日陰、または北側の窓の側などがよいでしょう。

また風通しのよい場所のほうが葉焼けしにくいので、5~10月までは戸外で栽培したほうがよいでしょう。

Q:冬に午前中だけ日光が当たる窓辺に置いたが、葉焼けした。その原因は?

A:葉焼けは、気温が高いと起こりやすくなります。セントラルヒーティングなど、冬でも薄着で過ごせるほど暖房を強めに入れている室内では葉焼けする可能性が高いです。直射日光は避け、レースのカーテン越しの日光に当てるようにしてください。また急に暗い場所から移動しても葉焼けします。1カ月くらいかけて徐々に日光に慣らしてください。

Q:株分け後、葉がしおれ気味で元気がありません。

A:古い用土をきれいに落とし、根も整理した場合、葉もかなり減らさないと根とのバランスが取れず、葉がしおれて水不足の状態になります。根を切って取り除いたら、同じ割合で葉も減らすようにしてください。また初心者は、細かく分けすぎると失敗しやすいので注意してください。

丈夫で白い可憐な花が魅力のスパティフィラムを育てよう!


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スパティフィラムの育て方5つのポイントは、

直射日光で葉焼けしやすい

暗すぎると花が咲かない

肥料切れと根詰まりに注意

腰水栽培が可能

冬は室内で越冬

以上のポイントを把握していれば、スパティフィラムは丈夫で育てやすい植物です。観葉植物として長く人気を維持しているのも、育てやすさが大きな理由でしょう。またスパティフィラムならではの水挿し栽培など、ユニークな育て方もできます。ぜひ5つのポイントを覚えて、美しい花と葉を楽しんでください。

Credit

文 / 小川恭弘
– 園芸研究家 –


おがわ・やすひろ/1988年、東京農業大学農学部農学科卒業。千葉県館山市の植物園「南房パラダイス」にて観葉植物、熱帯花木、熱帯果樹、多肉植物、ランなど温室植物全般と花壇や戸外植物の育成管理のほか、園全体のマネジメントなどの業務に18年携わる。現在フリーランスとして活動。著書に『わかりやすい観葉植物』(大泉書店)、『ハイビスカス』(NHK出版)がある。