北米でトヨタGRカローラ新型が発表され、トルコン式ATがオプションに加わった。GRカローラは、2022年10月に初代が登場した、ラリーからインスピレーションを受けた四輪駆動のホットハッチだ。ターボチャージャー付き3気筒エンジンを搭載している。ATの選択肢により、より多くのファンを引きつけると米誌はみる。
◆より広い購買層にアピール
米モーター・トレンド誌(8月1日)はGTカローラについて、「トヨタがこんな車を作るとは予想外だったが、その出来栄えは期待を上回るものだった」と述べる。トヨタのガズー・レーシング(GR)が手がけたスープラや86の成功を考えると、かつての楽しいドライブカーの魔法を、トヨタが再び取り戻した感じがする、と同誌は述べる。もっとも、かつてはMT仕様のみ用意しており、熱烈なクルマ好き以外の層を取り残す結果となった。そこで新型の2025年モデルでは8速ATが登場した、と記事は解説する。もちろん6速MTも標準装備として健在だ。
米カー&ドライバー誌は、「トヨタはGRカローラの成功にあぐらをかくことなく、そのホットハッチの魅力を広げるため、新機能をいくつか導入した」と述べ、8速ATの導入をその具体例の筆頭に挙げている。ターボ3気筒の出力は「途方もないほどの」300hpとなり、最大トルクは昨年より30Nm向上し400Nmになった。2023年に「モリゾウ・エディション」として限定販売されたモデルと同出力を達成しており、「みんなのモリゾウ」になったと同誌は言う。
◆ATは従来式の「DAT」を採用
先代となる初代GRカローラは、6速MTを採用していた。新型でオプション選択可能になったATモデルだが、デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)は採用していない。採用するのは、トルクコンバーターを使用した8速ATだ。これは「DAT」(ダイレクト・オートマチック・トランスミッション)と呼ばれる。
米ドライブ誌は、GRカローラのチーフエンジニアである坂本尚之氏の解説をもとに、トルクコンバーターは静止状態からの加速に優れると説明している。加速後、一定の段階でロックアップ機構が作動し、トルクコンバーター内の結合が流体式から物理的な直接結合へ切り替わることで、スリップが生じなくなる。ロックアップ後はDCTと変わりないため、あえてDCTを採用する理由がなく、DATを選んだという。
実際にどの程度のドライブフィールが得られるかは発売を待つことになるが、モーター・トレンド誌は「フォルクスワーゲン(のゴルフR)のシャープでクイックな変速のツインクラッチ式と比べて、どの程度『ダイレクト』なフィーリングなのか、試すのが楽しみだ」と期待を寄せている。
◆MT派も、ATの登場を吉報と受け止める
カー&ドライバー誌の読者は、ATの投入を好意的に受け止めている。
「MTしか所有したことがないが、ATの選択肢が増えるのは大歓迎だ。裾野が広がり生産数が増えれば、(修理が必要な際の)中古パーツも手に入りやすくなる」
「トヨタのMT投入は本当に賢いアイデアだ。アキュラ(ホンダ)のインテグラ タイプSはMTしかなく、大きなマーケットを逃している」
ドライブ誌のある読者は、DATの採用に賛同している。
「低速域でのDCT特有のギクシャクした挙動を考えれば、旧来のトルコン式オートマチックは理にかなっている」
「BMWも、何年も前にDCTをトルク・コンバーターに置き換えた。個人的には正しかったと思う」
スポーティーな走りを追求するGRカローラの購買層の間でも、AT投入の判断はおおむね好評を博しているようだ。新しいGRカローラは今冬、北米で発売予定。北米以外の地域への導入は検討中とのことだ。
トヨタ自動車
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