今夏、銀座「和光」本店の地階が、「アーツアンドカルチャー」と銘打った新しいフロアへと生まれ変わった。「舞台と回廊」をコンセプトに改装された新素材研究所による空間のなかで、国内外のクリエイターや職人とともに協働し開発したアイテムを展開していく。オープンには、2人のフランス人デザイナーに白羽の矢が立ち、日本固有の素材をつかったクリエイションが並んだ。そのうちのひとり、ジュエリーデザイナー シャルロット・シェネは、滋賀県のびわ湖真珠「JINBO PEARLS」を使って、有機的なネックレスとイヤリングを生み出した。
めまいがするほどに魅了された「JINBO PEARLS」
かつてヨーロッパやアメリカで高い評価を得ていた、びわ湖真珠。輸出ジュエリーの花形だったが、次第に水質汚染などにより貝が育たない期間が続いたことで、今や生産できるのは一社となっている。その唯一の担い手が、「JINBO PEARLS」を展開する神保真珠商店だ。
大きさや色のバリエーションも様々
「新しいフロアのコンセプトと、そこで何か日本固有の何かと特別なコレクションを展開できないかとお話をいただいたのが、2年前でした。それから、JINBO PEARLSについて教わり、実際にパリに送っていただいたんです。これまでもパールを使ったジュエリーを制作していますが、本当に特殊な輝きで、大量のパールを目の前にめまいがするくらい、強く魅了されてしまい。特別な力があるんだと感じました」
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クラシックなだけではないパールのネックレス
制作にあたり様々な大きさ、色、形の500~600ものパールを送ってもらったというシェネ。それらを、傷をつけずに区分けするため、特別なデスクを作り、ひとつずつ点検していったという。仕上がったパールのネックレスは、12種すべてが同じ形のない一点もの。クラシックに見えながら、ダイヤのついた有機的なクロージャーがモダンなエッセンスとなり、カジュアルにもモダンにも活躍する。
ダイヤの大きさも一粒ずつ異なるものを使用している
「JINBO PEARLSは湖で生まれます。湖の波は、海のように荒々しくはなく静かで穏やかなもの。そしてキラキラと水面に輝く光が美しい。パールをつなぐクロージャーにはそういった情景を落とし込みながら、ストーリーを描きたくて、ダイヤモンドの大きさにも強弱をつけています。もしかしたら神保真珠商店の方々とは違うパールの評価をしているかもしれませんが、私にとってはこれが素敵で美しくて、素晴らしい力を発揮すると感じたんです」