平家物語に登場する沙羅双樹の意味合い


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『平家物語』の有名な冒頭部、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす……」。この一文を学校で学んだ方は多いことでしょう。「どんなに勢いに乗っている人でも、必ず衰える時がやってくる」という意味ですが、この沙羅双樹の花の色とは何を示しているのでしょうか。これはお釈迦様が入滅する際に沙羅双樹が白化したという言い伝えをもとに、「沙羅双樹の花の色」は死や滅亡を暗喩して、盛者必衰に結びつけたものとされています。

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国内で沙羅双樹・夏椿が楽しめるスポット


夏椿。High Mountain/Shutterstock.com

沙羅双樹は日本での栽培は難しいのですが、温室設備の整った植物園などでは実物を見ることができます。

●滋賀県「水生植物公園 みずの森」(滋賀県草津市下物町1091番地)では、ロータス館のアトリウムにて展示。

●京都府立植物園(京都市左京区下鴨半木町)の日本最大級の温室では、沙羅の木のほか印度菩提樹や無憂樹、ホウガンノキ、夏椿も見学できます。

●夢の島熱帯植物館(東京都江東区夢の島3-2)は夢の島公園内の熱帯博物館で、沙羅双樹、印度菩提樹、無憂樹が見られます。

日本の沙羅双樹、夏椿のおすすめスポットもご紹介しましょう。

●妙心寺東林院(京都市右京区花園妙心寺町59)は、1531年に細川氏綱が父親を弔うために建立されました。本堂前庭には十数本の夏椿があり、見頃に合わせて特別公開しています。

●普門寺(大阪府高槻市富田町4丁目10-10) は、行基菩薩開創のお寺で、1300年の歴史があります。6月頃が夏椿の見頃です。紅葉寺としても知られています。

沙羅双樹は三大聖樹の一つ!スポットを訪れて見てみよう


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仏教では聖樹として知られる沙羅双樹。日本では苗の流通も少ないうえ、温室でない限り育たないことから夏椿を代用し、沙羅双樹に見立てて大切に育ててきました。そのため一般的にも沙羅双樹イコール夏椿として定着していますが、本来は違う植物です。国内でも本家の沙羅双樹を見ることができる、温室設備の整った植物園もあるので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

Credit

文 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。