パリ五輪レスリング女子フリースタイル50キロ級決勝戦に進出したビネシュ・フォガト(インド)が2024年8月7日、体重超過により失格となった。

ビネシュは1回戦で東京五輪金メダリスト須崎優衣(25)を破る番狂わせを演じ、その後、順調に勝ち進んでいった。

「ビネシュはいくつかの極端な手段を講じたが…」

決勝戦では、サラ・ヒルダーブラント(米国)と対戦するはずだったが、海外メディアによると、ビネシュは50キロを100グラム超過して失格となった。

五輪決勝戦を控え、なぜビネシュは体重超過という失態を犯したのか。

インド放送局「NDTV」(ウェブ版)は、8月7日にビネシュに関する複数の記事を公開し、計量失敗にいたる経緯などを詳細に報じた。

記事によると、決勝前夜、ビネシュの体重は51キロで、既定の50キロを1キロオーバーしていたという。

汗をかくために自転車をこぎ、サウナに入ったが思うように体重は落ちなかった。最後は髪を切り、血液を抜く手段をとったという。しかし、体重は900グラムしか落ちず、結局、100グラムオーバーで失格となった。

無理な減量がたたり脱水症状に陥り、選手村内の病院に入院し、応急措置が取られたという。

記事では「体重制限内に収まるようにするために、ビネシュはいくつかの極端な手段を講じたが、その努力は彼女が望んだ結果をもたらさなかった」と伝えた。

インドの日刊紙「THE HINDU」(ウェブ版)は、50キロ級はビネシュの適正階級でないことを指摘した。

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通常体重は57キロ前後で約7キロの減量

記事によると、ビネシュは元来53キロ級の選手で、同階級で世界選手権2度、銅メダルを獲得している。

これまで53キロ級で戦ってきたビネシュの通常体重は、57キロ前後だという。50キロ級で戦うには、約7キロの減量を強いられる。

記事では、ビネシュがなぜ今大会、50キロ級に出場したのかを解説。これには代表のチーム事情があったようだ。

記事によると、チームメイトのアンティム・パンガル(19)が、23年世界選手権53キロ級で銅メダルを獲得。これにより、アンティムはパリ五輪53キロ級の出場権を獲得した。

このような事情があり、ビネシュは本来の53キロではなく、50キロでの出場を強いられたという。

同メディアは「オリンピックの50キロ級カテゴリーに収まるために、体重を7キロから8キロ近く減らす必要があったため、50キロまで落とすことは彼女にとって常に大きな課題だった」と指摘した。

ビネシュが失格となったことで、女子50キロ級決勝は異例の形となった。準決勝でビネシュに敗れたジュスネイリス・グスマン(キューバ)が繰り上がり、ヒルダーブラント(米国)と対戦。結果、ヒルダーブラントがグスマンを下して金メダルを獲得した。