見えない格差の一つとされる「体験格差」が子どもたちの間で問題となっています。自然体験や社会体験、文化的体験などで得られる多様な経験は子どもたちの好奇心を刺激し、将来の可能性を広げる上で重要な役割を果たします。しかし、近年の研究でこうした体験機会に大きな差が生じていることが明らかになりました。今回の記事では、体験格差の実態と、それがもたらす影響、解決に向けた取り組みについてみていきましょう。
体験格差とは
体験格差とは、家庭の経済状況や地域環境によって生じる、子どもの経験機会の不平等を指します。昨今、社会全体で経済格差が拡大していることや、教育の重要性が見直されていることに伴い、一つの社会問題として注目されるようになりました。
子ども時代にどのような体験をしてきたかどうかが、子どもの将来に影響するともいわれており、「見えない格差」に対して社会全体としてどう向き合っていくかを求められているといえるでしょう。
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体験格差が広がった要因
格差
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体験格差が広がった要因として考えられるのは、主に以下の2つです。
経済的要因と地域差
体験格差が起こる要因の一つに、経済的要因が挙げられます。実際、世帯年収が上がるほど、習い事や家族旅行をはじめとする体験機会が多くなる傾向にあり、金銭的な理由によって差が生じていることは確かでしょう。
また、都市部と地方の間にも地域差があり、そこには教育機関や文化施設へのアクセスのしやすさが現れていると考えられます。
コロナ禍の影響
コロナ禍によって、体験格差はさらに拡大しました。オンライン学習環境の差が顕著となり、インターネット環境やパソコンが整っていない家庭の子ども達は、学習の継続が困難となりました。
さらに、外出制限によって体験機会が減少したことも格差が広がった要因の一つです。美術館や博物館への訪問、スポーツ活動、自然体験など、今まで当たり前に行われていた体験活動が大幅に制限されたことが影響していると考えられるでしょう。
このように、コロナ禍は単に学習環境の差だけでなく、子どもたちの体験機会全般に影響を与え、既存の格差をさらに拡大させる結果となりました。