体験不足が子どもに与える影響

文部科学省が2021年に発表した令和2年度「体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」の調査結果によると、小学生の頃に体験活動や読書、お手伝い等をしていた子どもは家庭の環境にかかわらず、高校生になってからの自尊感情や外向性、精神的な回復力などの項目において点数が高くなる傾向にあることが明らかになっています。

引用:文部科学省「令和2年度体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」より一部抜粋

また、調査結果から見えてきたこととして、家庭の経済状況と体験不足に直接的なつながりはないということです。収入の水準が相対的に低い家庭であったとしても、自然体験の機会に恵まれていたケースでは、その後の成長に良い影響があったことが分かっています。

家庭や学校、地域が「体験」の重要性を改めて認識するとともに、格差の解消に向けて取り組むことが大切だといえるでしょう。

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格差解消へ向けた取り組みも始まっている


手を重ねる
【画像出典元】「stock.adobe.com/matimix」

実際、体験格差の解消に向けたさまざまな取り組みも始まっています。子どもの教育格差解消に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンは長野市および経済産業省と共同で「長野市子どもの体験・学び応援モデル事業」をスタート。子どもの体験を地域で支える取り組みを構築することを目指しています。

また、学校と地域の連携も重要です。自治体によっては放課後プログラムや地域ボランティアの活用によって、子どもの体験機会を創出しようとする動きが見られます。例として、地域の農家と連携した農業体験や地元企業と協力したキャリア教育などが挙げられるでしょう。