「まさか自分が肩叩きされるとは…」退職金1400万円、41歳で早期退職した男性の“その後”

60歳の定年前に独立、再雇用で65歳まで会社にしがみつく……。終わりが見えてきた会社員はどのような選択をすべきか。人生後半の明暗を分ける正しい終わり方を考えてみた。

◆「自分が肩叩きされるとは思いませんでした」

会社に見切りをつける選択肢には、早期退職、転職・起業目的の自主退職などのルートがある。夢の実現、肩叩きと理由は違えど、退職を選んだ人たちの決断とは?

●西岡敏則さん(仮名・66歳)

大手生命保険・法人課長補佐→社会福祉事業・代表理事

退職時年収750万円→起業後の年収240万円

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「青天の霹靂でした……」

西岡敏則さん(仮名・66歳)は、31歳で大手生命保険会社に中途入社。ところが、働き盛りの41歳のときにリーマンショックの煽りで、早期退職勧奨の対象になったという。

「営業所長、法人課長補佐と昇進して、上長からもリストラの相談をされる立場だったので、そんな自分が肩叩きされるとは思いませんでした」

提示された退職金は、中途採用・10年勤務だったこともあり600万円強。だが、住宅ローンや子供の養育費を考えると、とうていのめる金額ではなかった。

「『私は辞めたくありません!』と半年間食い下がった結果、退職金が1400万円までアップしました。会社にしがみついても居場所はないはず……。早期退職勧奨を断って、冷遇され孤独になり自主退職に追いやられる仲間を何人も見ていたので、その金額で踏ん切りをつけました」

そう語る西岡さんには、今も忸怩たる思いが滲む。

◆退職後の転職活動は難航

「私が高コスト人材だったから、早期退職の標的になったのでしょう。でも、会社の利益に貢献したから高給を得ていたわけで、会社のために尽くした結果が肩叩きとは……。リストラのとき、会社は個々の社員の質なんて見ていない。単に頭数が揃えばいいということがよくわかりました」

営業スキルに自信はあったが、退職後の転職活動は難航。ほどなく、かつての仕事仲間と介護事業の会社を起業する。

「人材派遣会社の営業部長の採用面接で希望年収を1000万円と伝えたら、『出せて半分くらい』と呆れられました。退社して積み上げた実績を捨てると、次の会社では一からのスタートという現実を痛感しました。それでも、その後、起業して家にいる時間が増えて、妻が喜んでくれたのはよかった」

経営層を除いて、リストラリスクのない会社員はいない。

取材・文/週刊SPA!編集部

―[会社員の終わり方]―