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●食の未来を見据える日本企業の取り組みに注目! 全国に「びっくりドンキー」を展開する1968年創業の『株式会社アレフ』のエコロジーテーマガーデン「えこりん村」を取り上げます。
2015年に国連にて採択されたSDGsの実現に向け、世界的に環境問題への取り組みが積極化されています。農業をはじめとする一次産業から外食産業も同様に、食の未来を見据える取り組みが企業ごとに行われています。
おそらく外食産業の中ではトップクラスに、食を取り巻く環境問題へ取り組んでいるのが、「びっくりドンキー」の運営会社『株式会社アレフ』です。北海道札幌市に本社をおき、花の街として知られる恵庭市にて、SDGsの取り組みの紹介や実践の場として、エコロジーテーマガーデン『えこりん村』を運営しています。
今回はプレスツアーに参加して、その実態に迫りました。
東京ドーム約32個分! 150ヘクタールを有する「えこりん村」へ
2006年開業の「えこりん村」
えこりん村は2006年に開設。食や農、リサイクルなど、びっくりドンキーを運営する株式会社アレフの取り組みを紹介するとともに、羊の放牧やキャンプ施設なども併設されています。
2022年には、「第10回みどりの社会貢献賞」特別賞を受賞。「良好な緑地管理や市民開放などによる社会貢献および生物多様性保全などの環境活動で顕著な功績」が認められた企業のみが表彰されます。
ウェルカムセンター内にてSDGsの取り組みが紹介されています
まずは「びっくりドンキー」で提供されているメニューへの取り組みについて。米は、びっくりドンキーのオリジナル米で、殺虫剤・殺菌剤を使わずに除草剤の使用を一回までに制限して育てられています。過去、完全無農薬米作りも検討したことがあったそうですが、農家のみなさんにも負担がなく、人間と環境の持続可能性を考慮した結果、このオリジナル米の育て方にたどり着いたそうです。
左が使用済みの敷材、右は敷材と資材を混ぜたもの
さらに、各店舗で排出された生ごみは店舗併設の粉砕乾燥処理機で資材にし、堆肥作りに活用されています。
札幌近郊の店舗で出た生ごみは、資源となって「えこりん村」へ。家畜から出る敷藁を混ぜて攪拌、発酵させています(その他の店舗から出た生ごみは協力農家へ運ばれ各施設で有効に活用されているそう)。
実はお皿もリユースされています
取り組みはこれだけにとどまらず、醸造の過程で出るビール粕はメタン菌で発酵させ、バイオガスに変換し、発電機に投入することで使用する一部の電力を賄っているのだとか。
さらに、レストランで使い終わった廃油や一般家庭から回収した廃油を合わせ、バイオディーゼル燃料を作り、施設内のトラクターや発電機に利用しています。
そして「えこりん村」には、『株式会社アレフ』が長年続けてきた安心安全な食と、それに関わる研究成果ともいえる「とまとの森」が広がります。
「びっくりドンキー」でトマトフェア。その原点は世界一の「とまとの森」
一粒のトマトの種から1万5000個以上の実が毎年実ります
2006年から取り組みが始まった「とまとの森」は、水耕栽培で育てられていて、10cmの栽培槽の間に肥料や空気を含ませた水が循環するシステム。
畑で見る苗とは比べ物にならないほどたくましく枝ぶりを広げています
毎年11月25日に種をまき、その中から苗が選ばれます。一粒のトマトの種から生育環境を整えることで本来持っている生命力が目覚め、自らの力で大きく、たくさんの実を実らせるのだそうです。
頭上にたくさんトマトがなっている!
トマトの生命力を間近で見て、感じた商品開発担当者が実現した「トマト弾けるハンバーグ」と題したトマトフェア
「びっくりドンキー」で開催中のトマトフェアでは、「とまとの森」で実ったトマトを使用していません(全国の店舗で提供できるほどの数が実らないため)が、トマトが本来持っている甘みと酸味、ジューシーさを感じられる爽やかなディッシュやサイドメニュー、ドリンクが登場しています。
この「とまとの森」がなければ商品化に至らなかったそうで、直感的に与えるトマトの生命力の凄さを改めて感じさせてくれます。
「食という字は人を良くすると書く。」
これらの取り組みは、2015年にSDGsが国連で採択されるもっと以前からのこと。すべての始まりは、創業者である庄司昭夫さんの「食は人を良くするものでなくてはならない」という言葉から。
「食、農業、環境を不可分なものとして経営に取り込んで、事業として実現したり、量的な豊かさばかりを追求したりするのではなく、社会との関係、人と人とのつながりによって生まれる豊かさこそが必要といった経営哲学を持っていました。今でこそ当たり前になった、食と農、環境の流れをいち早く作った経営者で、稀有な存在だったと思います」
「『企業の存在根拠は、社会の中で、社会の不足や不満、問題を解決することにある。企業の目的は企業の側から決めるものではなく、お客様・社会によって規定されるものだ。従って利益はもちろん大切だが、だからといってそれは企業の目的ではなく、あくまで企業活動を続けていくための手段の一つに過ぎないのだよ』と語っていました」(株式会社アレフ広報担当)
年間を通して、多くの子どもたちが訪れ、食が取り巻く環境や未来について考えるきっかけを与えています [食楽web]
創業者である庄司さんの印象的な言葉、その志は脈々と受け継がれていることがわかりました。食の安全と地球環境の未来について取りざたされる現代だからこそ、改めて『株式会社アレフ』の取り組みを評価し、今後にも期待したいと感じました。
(撮影・文◎亀井亜衣子)
●SHOP INFO
店名:えこりん村
住:北海道恵庭市牧場277-4
TEL:0123-34-7800
営:9:30~17:00