気象庁による南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受けて、愛知県岡崎市から春日井市まで列車を運行している愛知環状鉄道は2024年8月8日、公式サイトなどで不要不急の旅行は中止するよう呼びかけた

ただ、政府などはそこまで踏み込んでいないとして、行動を抑制するような対応はどうなのかなどと、ネット上で疑問が続出した。同鉄道では、このような誤解を避けようと、9日正午過ぎから、「今後の気象庁等の情報にご注意ください」との表現に改めた。

「国がそんな事言いました?」「書き方が不気味すぎ」

宮崎県の日向灘で8月8日に発生した最大震度6弱の地震で、県内などでケガ人が出るなどし、その後、気象庁から南海トラフ地震臨時情報が出て、会見も開かれた。

この情報では、「今後の政府や自治体などからの呼びかけ等に応じた防災対応をとってください」と注意喚起され、自治体などでは、平常通りの生活を送りながら、次の地震があった場合の備えや避難の方法を再確認するよう呼びかけている。

そんな中で、愛知環状鉄道は同日、公式サイトなどを更新し、次のようなお知らせを出した。

「8月8日16時43分に日向灘で発生した地震を受け、気象庁から『南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)』が発表されました。お客様におかれましては不要不急のご旅行は中止いただきますようお願いいたします。なお、南海トラフ地震臨時情報につきましては、気象庁のホームページなどを参照してください」

この内容がネットで話題になり、X上では、不安を煽ることにならないかなどと疑問の声が次々に上がった。

「国がそんな事言いました?」「書き方が不気味すぎ」「気象庁見解より過剰な反応……」

その後、9日正午過ぎになって、公式サイトのお知らせは、次のように書き換えられた。

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「東海地震対応で定めた『地震防災応急計画』を踏襲」

「8月8日16時43分に日向灘で発生した地震を受け、気象庁から『南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)』が発表されました。当社の列車運行は継続いたしますが、今後の南海トラフ地震に関する情報が列車運行に影響を及ぼす可能性もありますので、今後の気象庁等の情報にご注意ください。 ※国が公表している情報等をふまえて、情報を更新いたしました」

なぜ当初は、不要不急の旅行は中止するよう呼びかけていたのだろうか。

この点について、愛知環状鉄道の人事課は9日、J-CASTニュースの取材に次のように説明した。

「法律で鉄道事業者は『地震防災応急計画』を策定しないといけませんが、私どもの計画では、『巨大地震注意』または『巨大地震警戒』が発表されたときは、不要不急の旅行中止をお願いするように定めています。愛知県にも、計画を届けてあります。今回は、その計画に基づいて、お客様が第1と考えて案内いたしました」

人事課によると、南海トラフの前は、東海地震に対応する計画として、地震注意宣言が出たときは、不要不急の旅行中止依頼を定めていた。南海トラフと呼ばれるようになってからは、このときのものをスライドさせたという。ただ、地震警戒宣言が出たときは、列車を止めるという表現だったが、トラフになって地震注意のときと同じにした。他の鉄道事業者で、旅行中止依頼までするところはないのではないかという。

9日になって、お知らせの表現を変えた理由については、こう話した。

「計画自体を変えたわけではありませんが、個人の行動まで規制するのかという声が出ましたので、誤解を与えないように違う案内文にしました。不安を感じたといった電話も来ていますが、当初のお知らせには、不安を煽るような意図はありません」

新しいお知らせについては、状況が変われば、またアップデートするとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)