一年で一番、温暖で日照時間が長い夏は、野菜栽培にも最適なシーズン。燦々と照りつける陽射しを浴びてバジルは青々と葉を茂らせ、ブラックベリーがたわわに実を結ぶ時期です。神奈川の自宅の庭でバジルとブラックベリーを育てて、摘みたてを料理に添えたり、ひと手間加えて保存食にするのが夏の暮らしの楽しみという前田満見さんに、夏庭の恵みと手仕事について教えていただきます。バジルソースや夏バテ予防のブラックベリーのシロップづくり、ぜひお試しを。
爽やかな香り立つバジルソース
梅雨明けと同時に夏の陽射しが照りつける7月下旬。
毎年、5月のゴールデンウィークに鉢植えしているバジルとミニトマトが収穫を迎えます。
以前は、他にもゴーヤやキュウリ、パプリカなどの夏野菜も鉢植えしていましたが、4年前にやめてしまいました。というのも、年齢に伴うライフスタイルの変化と年々厳しくなる猛暑に体力の衰えを感じたから。できるだけ無理なく夏のガーデニングを楽しみたいから、こんな引き算も大事かなと思いました。ちょっと物足りなさも感じますが、猛暑での手間暇が減ったぶん心身にも余裕が生まれ、より収穫の有り難さや喜びを感じるようになりました。
ビタミンカラーの弾けるようなミニトマトと青々としたバジルはコンパニオンプランツ。水遣りさえ気にかけていれば互いにすくすくと育ち、夏庭と日々の暮らしに活力と豊かさを与えてくれます。
特に、生育旺盛で放任で育つバジルは、夏の食卓に欠かせないハーブ。爽やかな香りとフレッシュグリーンの鮮やかな色が、サラダや肉魚料理の付け合わせに重宝します。また、ひと手間かけて作る自家製バジルソースも家族皆の大好物。バジル、ニンニクとクルミ、オリーブオイルと塩をフードプロセッサーに入れて一気に攪拌します。
材料も作り方も至ってシンプルですが、摘みたての爽やかなバジルと刺激的なニンニクの香りが食欲をそそるバジルソースは、市販のものとは風味が断然違います。野菜や肉魚のソテー、ラタトゥユなど、夏料理の万能調味料として大活躍ですが、一番人気は、何と言ってもジェノベーゼパスタ! 庭のミニトマトとフレッシュバジル、パルメザンチーズをたっぷり添えた自家製ジェノベーゼパスタは、ささやかな夏のご馳走です。
バジルソースは、作りたてをいただくのが一番ですが、残った分は煮沸消毒した小瓶に分けて冷凍庫に。材料にチーズを入れていないので新鮮な風味を損なうことなく2〜3カ月保存可能です。また嬉しいことに、離れて暮らす子供たちや友人へのちょっとした手土産にも大好評。なので、収穫できる秋口までせっせとバジルソースを作り、ストックしています。
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夏庭の宝石ブラックベリー
4年ほど前に、友人から挿し木を分けてもらったブラックベリー。つる性なので誘引できる木製フェンスの下に地植えしています。ここは、庭で一番日当たりのよい場所。他にもつるバラとクレマチスを植えているのでちょっと窮屈かもしれません。それでも、生育旺盛なブラックベリーは、1年目から両手に収穫できるほど成長し、3年目には驚くほどつるが伸びて数倍の収穫に。どうやら本来のポテンシャルを発揮してきたようです。
今春は、伸び過ぎたつるを何本か強剪定したのであまり期待していませんでしたが、思いのほか実が成り嬉しい限り。それにしても、無肥料無消毒、しかもほぼ手間いらずで収穫できるブラックベリーは、真夏のガーデニングに有り難い植物です。
待ちに待った収穫時期は約2〜3週間。毎日庭に出て熟した実をひと粒ずつ手で収穫します。その豊潤な漆黒の実は、まるで黒真珠。神秘的な輝きに目を奪われます。鈴なりになった様があまりに美しいので、時に房ごとカットして室内に飾ることも。花はなくても清らかな白い器に挿すだけで季節感溢れる花あしらいになります。さらに、緑〜赤茶〜黒へと実が熟していく過程を室内で観察しながら収穫できるのも嬉しいところ。何だかちょっと得した気分になります。