吸水ポリマーをガーデニングに使用するメリット
吸水ポリマーを園芸の用土や庭土に適量混ぜ込んで使用します。
B Calkins/Shutterstock.com
土壌の保水力や保肥力が高まり、水やりの量や頻度を軽減することができて、植物が土壌乾燥によって枯れるリスクも低下させるので、生育パフォーマンスも向上します。
吸水ポリマーをガーデニングに用いる利点
1. 吸水ポリマーは水分を大量に吸収して保持する特性があります。ポリマーを土壌に混ぜることで土壌の保水能力が向上し、乾燥を防ぎます。これにより水やりの頻度が減少します。
AnEduard/Shutterstock.com
2. 吸水ポリマーはそれ自体に水分を蓄え、必要に応じてゆっくりと放出します。したがって植物が必要とする水分を、より長い時間にわたって安定的に根に供給できます。
水を十分に蓄えた吸水ポリマー。解けかけの雪のような見た目になります。
3. 吸水ポリマーは土壌の物理的特性も改善します。保肥力を高めたり、土壌の通気性を保ちつつ水分を保持することができるため、植物の根の成長が促進され、結果として植物の健全な生育をサポートします。
Nikita M production/Shutterstock.com
4. 水やりの回数が減ることで水道代や労力の軽減につながります。
5. 限りある水資源の節約をしつつ、生分解性のポリマーを用いれば、環境に優しいエシカルで持続可能なガーデニングを楽しむことができます。
J.J. Gouin/Shutterstock.com
(広告の後にも続きます)
吸水ポリマー材のガーデニングでの使い方・注意点
ガーデニングでは吸水ポリマーを園芸用土や庭土に適量混ぜ込んで使用します。おおまかな目安としては、露地よりも乾燥しやすい鉢植えの場合、土の量1リットルに対し、ポリマー材1~2グラム程度(ティースプーン1~2杯程度)が目安とされています。
植える植物の性質(水分を好むか、乾燥ぎみを好むかなど)や混ぜ込む土の元々の保水力や水はけ具合によって、土に混ぜ込む量を加減するとよいでしょう。ポリマー材がなるべく均等に散るように混ぜ込むのがポイントです。
Peter Turner Photography/Shutterstock.com
地植えの植栽には、土壌内部まで完全に乾燥する危険性は鉢植えよりも低いですが、例えばルドベキアやユーパトリウムなど、日向を好み、水をとてもよく吸い上げる植物を植える際に、その根が伸びるエリアにポリマー材を混ぜ込んでおくと根が乾きにくく、植栽を元気に保てます。
植物を苗で植栽するとき、土に吸水ポリマーを適量混ぜ込んでおくと、まだ根が定着しておらず激しい環境変化に耐えにくい小苗の植栽初期においても、安定的に水分が補給されるので、生育の安定性・安全性が増します。
また、水やりをしにくい場所に植栽する際も、ポリマー材を土に混ぜ込むことで、土壌自体の保水力が向上し、土の乾燥によって植物が枯れるリスクを抑制できます。
ポリマー材の製品によって使用量や使用法が異なりますので、使用する前に製品の取り扱い説明をよく確認しましょう。
ガーデニングにポリマー材を使用する際の注意は、ポリマー材を多く土にまぜると、水はけが悪くなり、逆に土壌の蒸れによる植物の根腐れにつながる可能性があります。
ポリマー材の配合の適量の目安は、鉢植えであれば上から与えた水がサッと土に染み込む程度。地植えであれば水やりをした際、表土に水が溜まらず、すぐに染み込む程度です。最初は少なめに入れて、足りないと感じたら後から足して調整すると失敗しにくいです。
気候変動は恐ろしい問題で、絶対に解決する必要がある。それは大きな優先事項にする価値がある。
ビル・ゲイツ 実業家・慈善家 1955 –
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 太田敦雄
– 「ACID NATURE 乙庭」代表 –
おおた・あつお/園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科、および前橋工科大学建築学科卒。趣味で楽しんでいた自庭の植栽や、現代建築とコラボレートした植栽デザインなどが注目され、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)ほか、掲載・執筆書多数。
「6つの小さな離れの家」(建築設計:武田清明建築設計事務所)の建築・植栽計画が評価され、日本ガーデンセラピー協会 「第1回ガーデンセラピーコンテスト・プロ部門」大賞受賞(2020)。
NHK『趣味の園芸』講師。(一社)ジャパンガーデンデザイナーズ協会(JAG)正会員デザイナー。ガーデンセラピーコーディネーター1級取得者。(公社) 日本アロマ環境協会 アロマテラピーインストラクター、アロマブレンドデザイナー。日本メディカルハーブ協会 シニアハーバルセラピスト。
庭や植物から始まる、自分らしく心身ともに健康で充実したライフスタイルの提案にも活動の幅を広げている。レア植物や新発見のある植物紹介で定評あるオンラインショップも人気。
「太田敦雄」公式ブログ https://note.com/acid_nature_0220
プロフィール写真/田中雅也