L/UNIFORMが和光とつくるデニムバッグ。職人とのフェアなものづくりが実現の鍵に

今夏、銀座「和光」本店の地階が、「アーツアンドカルチャー」と銘打った新しいフロアへと生まれ変わった。オープンには、2人のフランス人デザイナーに白羽の矢が立ち、日本固有の素材をつかったクリエイションがお目見え。そのうちのひとり、バッグブランド「L/UNIFORM」の創業者ジャンヌ・シニョールは岡山県の縫製工場SHIOTAのアーカイブ生地を使ったバッグコレクションを制作。フランスでアトリエを持ち自社で生産を行う彼女に、職人たちとの関係について聞いた。

和光フリークのジャンヌが見た新フロア

「『前世は日本人なんじゃないの?』って家族からもよく言われます。最初は誰かと一緒だった日本への旅も、最近では一人でも自然と足が向きますし、私自身も本当にそうなんじゃないかと思っています」というジャンヌ・シニョール。インテリアデザイナーの片山正通や、フラグメント主宰の藤原ヒロシとの親交も深く、日本のカルチャーにも造詣が深い彼女は、和光にも特別な思いがあるという。

「初めて日本に行く時、義父から『着いたらまず、最初に和光に行きなさい』と言われ、その通りに。だから私の日本の思い出は和光から始まっていて、それ以来大ファンです。ここには、特別な空間とお客様へのホスピタリティ、全体的にみて世界中探してもここにしかないものがたくさんあります。特に地階は私なりに楽しみ方のある好きなフロアでしたが、今回杉本博司さんと榊田倫之さんによる新素材研究所が手がけられた新しい空間は、『前何があったんだっけ?』と忘れてしまうくらいに素晴らしく、感動しました」

新しい地階ではL/UNIFORMのスペースもでき、オープンにあたり日本のデニムを使った特別なコレクションの制作も依頼された。「いつかは和光と何か取り組めたらと夢見ていました。同時に、日本のデニムには興味があったので、今回こういった形で実現したのは本当に嬉しいです」

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老舗デニム企業とアップサイクルで実現したコンビネーションバッグ

「L/UNIFORMのキャンバスは、表裏両方が美しいということを信念にしています。それと同じように、両面納得いくデニムに辿り着けたのことは幸運でした。SHIOTAさんは60~70年デニムを作り続けている企業で、当時から試作の生地を含めアーカイブを保管されていて。たくさんあるわけではなく、またある程度時間が経つと破棄してしまうものも多いといいます。最終的には今回の取り組みでそうした生地をアップサイクルすることができたことは個人的にも素晴らしいと感じています」

L/UNIFORMでキャンバス以外のコンビネーションは珍しい。力強いキャンバスのネイビーと、白と藍色の色が混ざって出来上がるデニムの色とのバランス感は絶妙で、シックに調和した仕上がりがこれまでのバッグにはない整然とした佇まいだ。

「生地の硬さが違うので、バッグの持つバランス感をうまく取るのが大変でしたが、それを実現できる職人たちがアトリエにはたくさんいますから。彼らがいなければ、難しかったと思います」