L/UNIFORMが和光とつくるデニムバッグ。職人とのフェアなものづくりが実現の鍵に

今夏、銀座「和光」本店の地階が、「アーツアンドカルチャー」と銘打った新しいフロアへと生まれ変わった。オープンには、2人のフランス人デザイナーに白羽の矢が立ち、日本固有の素材をつかったクリエイションがお目見え。そのうちのひとり、バッグブランド「L/UNIFORM」の創業者ジャンヌ・シニョールは岡山県の縫製工場SHIOTAのアーカイブ生地を使ったバッグコレクションを制作。フランスでアトリエを持ち自社で生産を行う彼女に、職人たちとの関係について聞いた。

ブランドを輝かせる職人とのフェアな関係性

ジャンヌは、2014年に夫とともにL/UNIFORMを設立。フランス南部の自社のアトリエを構えるほか、4つの工場で生産を行っている。従事する職人たちは2年間自社研修を受けて技術を身につけ、留め金、レザーの仕上げ、縫製、組み立てといった全ての工程を行っている。

「ブランドを始める時、自社で完結できる仕組みが作れなければ、成功は難しいという確信がありました。それを組み立てる中で、リスペクトし合える環境づくりは重要です。でも、実際にやってみると職人の方を集め、きちんと対話ができるまでに10年はかかりました」

フランスも日本同様、作り手となる職人の減少は課題となっている。そんな中、自社で職人を抱えることの難しさに向き合ったことで、ジャンヌなりの回答が見えてきたのだという。

「日本でもそうかもしれませんが、昔からあるオーナーと職人におけるヒエラルキーのような関係性はもう間違っています。デジタルが普及した今は様々な情報が飛び交っていて、職人たちも『ここに行けば待遇が良い』など自分の技術でいくらでも勝負ができるのです。だからこそフェアに、そしてクリアに事業について共有したり、積極的に対話することがすごく大事だと実感しています。

今日見た和光のフロアも彼らが実現してくれたコラボレーションのバッグも早速、みんなに写真を送ってシェアをたのですが、とても感動してくれていて。みんなで分かち合うということが、“一緒にこのブランドで新しいことをやりたい”という原動力になるんだと思います」

同じ思いを持つ人と人とが生み出すL/UNIFORMのバッグには、手仕事のぬくもりや丁寧なものづくりをディテールから感じられる。そうしたものを感じ取った人と人との連鎖がブランドを育てていくとジャンヌは言う。

「同じ気持ちでものづくりをしてこそ、世の中に響く作品が作り出せます。ですが、『ものできた』『売れました』『よかったね』で終わりにしてはいけない。ものづくりの背景にさまざまなストーリーがあって、買い手にも何かそうしたものを感じさせることも大事なことです。全てはリレーションシップで成り立っているのですから」

interview&text: Mio Koumura

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