“6年間毎日”ハンバーガーを食べ続ける人物を直撃「健康診断はオールA、体形も変わらない」

焼肉に寿司、ラーメンにパスタなど、飽食の時代と言われて久しい現代日本では、あらゆるものが好きな時に食べられる。しかし、なかにはひとつの食べ物にこだわり続ける人もいる。自身が食べたハンバーガーをInstagramにアップし続ける、えどぽよ氏もその一人。

毎日1食以上必ずハンバーガーを食べているという同氏。健康面は問題ないのか、そして単純に飽きないのだろうか。本人を直撃した。

◆なぜ毎日ハンバーガーを食べるようになったのか

えどぽよ氏は、いわゆるファストフードとは一線を画す「グルメバーガー」を中心に食べ歩いているそうだ。きっかけには、とある有名店の存在がある。

「1996年に『FIRE HOUSE』(文京区)というお店ができました。当時、僕は20歳ぐらいだったんですが、その美味しさに感動して。でも、まだグルメバーガーのお店も少なかったので、毎日ではなく、せいぜい週2~3回食べる程度でしたね」

“毎日ハンバーガー生活”になったのは、こちらも有名店に起因する。

「虎ノ門にある『Builders』というお店の店長さんが、『それだけハンバーガーばっかり食べてるなら、Instagramにあげたら面白いんじゃない?』と言われ、はじめてみたらハマりましたね。僕は、なんでもやりはじめると徹底しちゃうタイプなんです(笑)」

Instagramを始めたのが2018年のこと。6年が経過し、もしかしたら日本一グルメバーガーを食べているのではないかと自負する。

「ファストフードも含めると1年に600個は食べているので、それだけで3600個になりますね。もともとジャンクなものが好きだったので、人生で換算したら1万個以上は食べています」

◆健康診断はオールA、体形も変わらない

1日3食、ファストフードばかり食べ続けるとどうなるかを実験した映画『スーパーサイズ・ミー』の影響により、ハンバーガーばかり食べる生活は、体に毒というイメージも少なくない。

「お酒もタバコもやらないからかもしれませんが、健康診断はオールAです。もちろん毎日ハンバーガーを食べるようになってからもです」

健康には大きな影響がないというえどぽよ氏、見た目にも太っているようには見えないが、「ハンバーガーのために他の食事で調整している」ということはあるのか。

「太りやすい体質ではないからか、ハンバーガーを食べ続けていても、体形は変わりませんね。定食屋さんに行ったり、ラーメンを食べたりと、ハンバーガー以外の食事も特に気を使っているわけでもありませんし」

ここまで聞くと、健康への悪影響は全くなさそうだ。曰く、「グルメバーガーは“太る食べ物”ではないと思います」とのことだ。

「日本のグルメバーガーの中には、ブロック肉から筋や脂身を手作業でしっかり落として赤身中心のパティを成形するハンドチョップという手法もありますし、野菜もたっぷり入っていることが多いですからね。案外栄養のバランスが良いんです。仮に、ファストフードのハンバーガーばかり食べていたら太っちゃってたかもしれません」

◆店ごとに全然違うから「毎日でも飽きない」

毎日食べていて「飽きる」ことはないのだろうか。

「確かによく『飽きないの?』と聞かれますが、お店ごとに全然違いますからね。使うお肉も違えば、ミンチやハンドチョップなどパティの成形方法も違いますし。さらに言えば、バンズも違えば、ビルド(バーガーの組み立て方)も全く違います」

個性豊かさに助けられ、食べ続けていられているわけだが、「ハンバーガーにありつけないかもしれない」ピンチが訪れたことはあった。

「ある地方で食べに行きたいお店が6店舗あったんです。もちろんあらかじめ休業日を調べていたのに、なんとうち5店舗が臨時休業で……。家から3時間くらいかかる場所だったので、かなり絶望しましたよ」

SNSなどの更新をあまりしない、地方のお店あるあるだというえどぽよ氏。リスクヘッジで来店前に電話もしたというのだが……。

「あるお店には事前に営業しているか電話してみたんです。『やっている』という返事だったので安心して向かうも、到着すると閉まっていました。再度電話をかけてみると、『あれ?さっきのお兄さん?まだ来てなかったの!? おばあちゃんが銀行に行きたいっていうからも今日はもう閉めちゃったよ』って(笑)」

◆行くのが大変だった「房総半島の真ん中あたりにある店」

グルメバーガーには個人経営の店も多く、営業時間も蜃気楼のように不確定。都心にあるのになかなかタイミングが合わず、食べるまでに何度も通った店もあるという。そんなえどぽよ氏に、物理的にハードルの高かった店を聞いてみた。

「千葉にある『Vestelia (ウェスタリア)』というお店ですね。房総半島の真ん中あたりにあるんですが、お店に着くまで舗装されていない山道を、車をガッコンガッコンいわせながら進まないといけなくて、本当に大変でした!」

遠出して危険を感じてまでも、地方に出てハンバーガーを食べたいと思うのには、東京と地方との違いがあるようだ。

「東京だと、バーガーショップにバンズを提供している有名なパン屋さんが『峰屋』というお店を筆頭に4〜5店舗あるんです。これらの店舗で、東京(関東の配達圏内)のグルメバーガーの多くのお店のバンズをまかなっていますね。でも、地方だとそういったパン屋さんがあまりないそうで、自家製だったり、近所のパン屋さんにお願いして作ってもらっています。なので、個性が強いものが多いのも、地方ならではでして」

いい意味でのインディーズ感を味わうには、地方のバーガー巡りも一興のようだ。

◆とにかく「かぶりつく」のが正解

ラーメンで例えるならスープから、日本蕎麦ならツユにつけずにーーといったように料理ごとに通の食べ方があるものだが、グルメバーガーではどうだろう。

「しのごの言わずに、かぶりつくことです。お店もそれを想定してビルドしてますからね。手を汚しながら口を汚しながらでも、かぶりつくのが一番うまいです」

かぶりつくことを前提に作られたものだから、王道の食べ方が一番美味しくなる。さらに、えどぽよ氏ほどの領域に達すると、かぶりつくことでお店からのメッセージまで感じるという。

「上下にバンズがありますが、下のパンの次に何が来るかで、お店が食べる人に何を味わってほしいかがわかります。いわば、舌に当たる最初の具材ですからね。パティが来ていれば肉々しさを味わってほしい、レタスが来ているなら全体のバランスを重視しているお店が多いです。だから、ハンバーガーを逆さまにして食べると、味が変わるんですよ」

ネット上で話題になっていないお店を見つけた時にこそ、喜びを感じるというえどぽよ氏。想像以上に広くて深いグルメバーガーのさらなる可能性を、今後もまだまだ掘り出してくれることを期待したい。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】

Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。