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●夏の風物詩的な一杯。大阪・心斎橋の牛鍋専門店『船場牛鍋専科 船場虎島』。上質な素材をふんだんに使った贅沢な一杯「肉そうめん」を食べてきた。
連日、観光客や地元の人で賑わう大阪屈指の繁華街・心斎橋エリア。ブランドショップや百貨店が立ち並ぶこの街には、老舗から話題の新店まで飲食店もたくさんあります。
心斎橋駅から徒歩5分の場所にある『船場牛鍋専科 船場虎島』は、手頃な価格で上質な牛肉が食べられる有名店。関西のローカル番組や雑誌に何度も取り上げられています。
高級感のある店構え
しゃぶしゃぶ店として1979年(昭和54年)にオープンした同店。当時高級食材であった牛リブロースを気軽に食べてもらおうと、薄切りの牛肉と野菜、うどんを炊いた「船場牛鍋」を創作し、45年間愛され続けています。
実はこちらのお店、牛鍋専門店なのに春から秋の暖かい時期限定で提供される「肉そうめん」が大人気! 毎年心待ちにしているファンも多いという夏の風物詩を食べに行ってきました。
シンプルながら落ち着いた内装
2012年に全面改装した店内は、オープンキッチンと20人近く座れる巨大な木のテーブルが印象的。一人前ずつの鍋でも皆で囲んでいるような感覚を楽しむために、あえて相席スタイルにしているそうです。
涼を誘う極上の「肉そうめん」の旨さの秘訣
「肉そうめん」1300円
こちらが期間限定の「肉そうめん」。艶やかなそうめんにたっぷりの牛肉がのっていて、横には色鮮やかな夏野菜の揚げ浸しが添えられています。
よく冷えたつゆを一口飲んでみると、すっきりとした上品な味わい。出汁の風味が強く塩味はまろやかで、飲み干したくなるおいしさです。国産の昆布と煮干し、カツオ削り節で出汁を取って調味料で味付けした後、牛鍋の出汁をブレンドしているのだとか。さらに、淡路島産玉ねぎを加えているらしく、ほんのりと優しい甘味も感じられます。
小豆島で古い歴史を誇る特産品
麺は、約400年の歴史を持つ小豆島の手延そうめん「島の光」が使われています。厳選した小麦粉、食塩、ゴマ油を使用し、職人の手作業で寒い時期に2日間熟成。空気の澄んだ瀬戸内の潮風を受けて天日干しすることで、強いコシとなめらかなのど越しが生まれるそうです。
冷水でキュッと締められたそうめん一本一本に、つゆと牛肉の旨みが絡んでいて、食べる手が止まらなくなります。
プラス250円で牛肉増量も可能 [食楽web]
超薄切りの牛肉は、とろけるようなやわらかさ。さすがは牛鍋専門店、上質な牛肉を使っているのがわかります。肉が硬くならないように、スチームコンベクションで温度管理をしながら低温でじっくり火を通しているのだとか。その後、1日牛鍋の出汁に漬け込んで味を染み込ませているらしく、噛めば噛むほど肉の旨みと出汁の風味が溢れ出てきます。
食べていて驚いたのが、脂のザラつきをまったく感じないこと。一般的に牛肉の脂は冷えると白く固まって口当たりが悪くなりがちですが、この「肉そうめん」はつゆに脂がほとんど浮いておらず、肉も舌触りが滑らかなんです。
お客さんの要望により年中夏野菜を使っているそう
かぼちゃの素朴な甘さとパプリカのシャキシャキ食感、ズッキーニのみずみずしさが楽しめる揚げ浸しは、箸休めにぴったり。素揚げした夏野菜を牛鍋の出汁に漬け込んだシンプルな味付けで、素材そのものの旨みが際立っています。
こだわり抜いた食材を掛け合わせることで、これほどまでに味わい深いそうめんができるとは。長年牛肉と向き合ってきた専門店だからこそ生み出せる、極上の一杯でした。
調査結果
うだるような暑さを吹き飛ばしてくれる「肉そうめん」は、楽しみにしているファンが多いのも納得の味でした。1000円を超える価格設定ですが、使われている食材の質と手間を考えるとコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。毎年11月ごろまで提供しているようなので、ぜひ足を運んでみてください。
(撮影・文◎安達春香)
●SHOP INFO
船場牛鍋専科 船場虎島
TEL:06-6251-6320
住:大阪府大阪市中央区南船場3-1-12
営:11:30~14:30、17:30~22:00(L.O.21:00)
休:日曜日
https://www.instagram.com/senba_torashima/