もう少し飲みたい夜。バーへ向かう代わりに、深夜営業の中華店に行くのが欲張りな大人らしい小慣れたなりゆき。
アラカルトでオーダーできるのが嬉しい、六本木・西麻布・三軒茶屋・学芸大学の人気店をご紹介。
お酒も会話も進み、時間を忘れる粋な夜を過ごせるおすすめの4軒がこちら!
1.【L.O.24時】上質で美味なものだけ食したい。アッパーな港区深夜族の新定番
『桃仙閣』@六本木
真夜中のフカヒレは、問答無用に官能的
六本木の交差点から徒歩1分。そんな港区ど真ん中の立地ゆえ、25時までの営業には高いニーズがある。
2軒目を求める人、残業メシを求める人、多くの大人が『桃仙閣』の扉を潜る。
メニューを見れば、北京ダック、麻婆豆腐、春巻など、誰もが好きな中国料理が約70種ずらりと並ぶ。それも六本木界隈で遊ぶ食通が2軒目で利用しても満足できるクオリティだ。
というのも、ここは星付きの名店『明寂』や『一平飯店』などを手掛ける林 亮治さんがオーナーで、当人の原点のような場所。
島根で父が営む中華店と同じ店名で、同じく直球の味を伝える。
前菜は16種と豊富で卓上にはそのうち5種。
「ピーマンの薄切りにんにくオイル和え」¥968、「アボカド揚げニンニク醤油」¥968、「カブと紅芯大根の沙茶醤和え」¥968、「クラゲの冷菜」¥2,068、「ハタのお刺身サラダ エシャロットとニンニクのソース」¥1,780。
「北京ダック」(1本¥2,068)は、甜麺醤ベースの甘過ぎない味噌が通好み。「マーボー豆腐」(¥1,958)は手切りの肉と熟成豆板醤のコクがポイント。
フカヒレの戻し方が絶妙な「フカヒレの姿煮込み」250g ¥21,780。味付けは塩のみというシンプルな「穴子の唐辛子と山椒の香草炒め」¥2,398。
◆
加えてワイン好きも納得のワインリストがあり、料理がすべて取り分けて出されるホスピタリティもある。
フカヒレにかかるコラーゲンたっぷりの白湯ソースに白米を欲すれば美味しい米がすぐに登場。
「1軒目より好きかも……」とつい思う人もいる、間違いない2軒目なのだ。
2.【L.O.27時半】星条旗通りに夜通し灯る明かりは、食の猛者たちをも引き寄せる
『ふるめんUSA』@西麻布
罪悪感ゼロだからハマる、背徳の町中華
どこの駅からも遠い西麻布の奥地にあって、明け方まで営業となれば、このエリアで深夜のオアシスになるのは必然。
厨房で腕を振るうのは都内の中華店で腕を磨いた宮川達郎さん。「調理は一流店と同じでも、町中華のように気楽な皿に仕上げます」と話す。
シンプルな「冷製蒸し鶏のたっぷり葱生姜ソース」は口ざわりの良さに驚き、毛ガニがごそっと乗ったカニ玉は遊び心あふれる演出に目を見張る。
口の肥えた港区の人気店シェフが夜な夜な集まるというのも納得だ。
上から「鶏白湯のフカヒレラーメン」¥2,800。鶏のガラや大量のモミジからとった濃厚スープはコラーゲンの塊。
「毛ガニのふわっとろかに玉」¥3,600。とろとろのたまごに毛ガニ、カニみそ、カニのたまごが入ったカニ玉の上にほぐし身がこれでもかと乗っている。
大山鶏の丸鶏で作る「冷製蒸し鶏のたっぷり葱生姜ソース」¥1,400。沸騰したお湯に鶏肉を入れて火を消し、じっくりと火を入れるので蒸すより肉が柔らかくしっとりする。
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中華でありながら化学調味料はほぼ不使用なのもさすがは「ふるけん」グループのDNA。
半日かけて丁寧にとるスープ、自家製の調味料、国産の良質な食材を駆使した料理はクリアで軽やか。飲んだあとでも不思議にスルスルと胃に収まり、やらかしても翌日すっきりだ。
遊び疲れたあとには、こんな優しい中華で上質なエネルギーをチャージしたい。
■店舗概要
店名:ふるめんUSA
住所:港区西麻布1-4-36 ロジマン西麻布 1F
TEL:03-6452-6101
営業時間:【火~土】18:00~(L.O.27:30)
【日】17:30~(L.O.26:00)
定休日:月曜
席数:個室9(36席)
3.【L.O.25時】三茶民も三宿民も続々集まる“夜カフェ中華”が洒落ている
『HESO』@三軒茶屋
ひと捻りある王道中華がクセになる
街中が飲み屋街みたいな三軒茶屋のお楽しみは何軒も渡り歩くホッピング。そんな夜に目指すのは地元愛され系の深夜中華だ。
アパレルやマスコミで働くご近所さん、仕事終わりが遅い美容師など、遅めスタートの人々に深夜食堂として重宝されているのが『HESO』。
繁華街から少し離れた静かな場所にあって一見するとカフェに見えるが、メニューを開けば本格的だ。
店主の高橋 大さんは銀座の北京料理『天厨菜館』、湖南料理『雪園』で経験を積み、その後バーテンダーも務めたというユニークな経歴。中華なのにカクテルリストが豊富なのも頷ける。
スタンダードなメニューに加え、黒板に本日のオススメもあって頻繁に通う常連も飽きさせない。オリジナリティあふれる「黒棒棒鶏」や「背脂ギョーザ」など一工夫した料理も自慢だ。
右上から時計回りに「黒棒棒鶏」¥680。香りとコクが強い黒胡麻を使ったオリジナル。より香ばしさが際立つすり胡麻を使用。
「自家製ラー油の酸辣湯麺」(¥880)は、香り高い自家製のラー油を効かせて。辛さ増しもOK。大ぶりのエビがごろっと入った、ビールが進む「海老と空心菜のガーリック炒め」¥930。
「背脂ギョーザ」(¥500)は、粗挽きの赤身肉とキャベツに背脂を加えたアイデアもの。赤身の旨みと背脂のコクが融合した濃厚な味わい。
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はしご酒の〆に、こんなアットホームな地元の店でのんびりできるのもこの街の魅力だ。
■店舗概要
店名:HESO
住所:世田谷区太子堂2-1-1
TEL:03-6453-4042
営業時間:【月~土】20:00~(L.O.25:00)
【日】20:00~(L.O.23:00)
定休日:不定休
席数:カウンター5席、テーブル18席
4.【L.O.26時】目黒区随一の眠らない街、学大の異業種交流場
『ダルマ飯店』@学芸大学
骨太中華が酒を誘う、欲望の終着地
3軒、4軒と行きつけの酒場を回遊する学芸大学では、行く先々で知り合いに出くわすことになる。結果、最後は大人数でワイワイと盛り上がるのがお約束だ。
そんな元気いっぱいののんべえ達が深夜過ぎに集まるのがここ。大衆中華の気安さとお洒落ないまどき酒場のハイブリッドが絶妙な『ダルマ飯店』だ。
看板メニューの肉々しい「肉汁蒸籠焼売」をはじめ、料理はどれも手軽な価格でいてボリューミー。
XO醤を使ったり、隠し味にワインを入れたりと町中華とは一線を画すが、ガツンとした味付けは酒との相性ばっちり。食べるほどに手が止まらなくなる。
右上から時計回りに「回鍋肉」¥780。がっつりボリュームがある炒め物は深夜に人気。
大きなエビに絡むソースは、ワインなど様々な隠し味が決め手の「陳さん直伝エビマヨ」¥880。パリパリのエビせんと一緒に。
シコシコの太麺に豚ミンチ、にら、にんにく、魚粉など具沢山の「ダルマの台湾まぜそば」¥980。
「肉汁蒸籠焼売」(¥580)は、トントロ入りで、かぶりつくと肉汁がほとばしる。XO醤で味付けしているのでそのままいただく。
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クラフトビールやナチュラルワインもあって、どんなメンバーでも間違いないから使い勝手もいい。
「一軒目に来てまた戻ってくる常連さんも多いです」と笑うのは店主の矢沢恵介さん。
食いしん坊でエネルギッシュなこの街の住人には、なくてはならない深夜の救世主だ。
■店舗概要
店名:ダルマ飯店
住所:目黒区鷹番2-8-20
TEL:03-6303-3166
営業時間:【月~土】17:00~(L.O.26:00)
【日・祝】15:00~(L.O.24:00)
定休日:年末年始
席数:カウンター7席、テーブル38席
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