料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目3月のテーマは、「おいしい和食で春を食べる」。3つのレシピを紹介します。


ほろ苦い山菜やみずみずしい豆類は嬉しい旬の味覚。正しい下処理を覚えて春の定番に。

おいしい和食で「春を食べる」。

先生:この教室も3回目。読者の方からも、作ったという声をいただけてうれしいですね。

生徒:はい! それと私事ですが、有子先生の教室に参加してたら、以前より少しだけ段取りよく料理ができるようになったんです。

先生:あら直子さんてば、幸先いい話ね〜。今月のテーマは「春を食べる」です。芽吹きの季節。気持ちも新たに春の野菜で和食を作りましょう!「フキの炊き込みごはん」から仕込みますよ。

生徒:フキの下処理やります! お鍋の長さに切り揃えて塩をしたら板ずりですね。

先生:ここで大切なのがお鍋に火をかけて、お湯が沸いてから板ずりを始めること。すぐにお湯に入れないとアクが出るの。

生徒:なるほど。ゴリゴリしてたら良い香りがしてきました。これが完了の合図ですね。

先生:そうなの。ちゃんと下処理しておくと、さっと茹でて水に取るだけで無理なくするっと筋がむけるんです。続いて「春のグリーンの和えもの」の準備を始めましょう。

生徒:まずはスナップエンドウの筋取りから。これ、いつも適当にやっているので、正しいやり方を目に焼き付けて帰ります!

先生:まず内側の筋を下からスッと取り、ヘタを外してそのまま外側まで一気にいけば、きれいに筋取りできますよ。

生徒:わ、本当だ。上手に取れて楽しい〜。

先生:絹さやも同じ要領で下処理すればいいんだけど、最近のものは筋があまりないのでヘタを取るだけでもいいかな。こごみは丸まっているところをよく洗ってね。

生徒:スナップエンドウ、こごみ、絹さや。素材ごとに時間差で蒸していくんですね。

先生:そう。蒸したら水には取らないで、盆ザルなどに広げて蒸気を上げて自然に冷まします。水っぽくしないためのコツです。

生徒:グリーンがすべて蒸し上がりました!

先生:スナップエンドウはさやを2つに開けて和え衣と絡みやすくさせてね。さあ、ごはんの支度に戻るわよ。だしに酒、みりん、薄口醤油を入れひと煮立ちさせ、生姜と油揚げを3分煮たらフキを加えて1分。具はザルに取り、煮汁でお米を炊きます。煮汁の塩分がお米の吸水の邪魔をするけど、といだお米の水気をしっかりきると水を吸いやすくなるの。

生徒:あら〜。先生ったら知恵袋。

先生:煮汁は少し冷ましてから、お水と合わせて2合分にしてお米に加えてね。炊き上がり間近に揚げ物をスタートさせますよ。

生徒:「鯛のハーブ唐揚げ」。待ってました! 

先生:鯛は1切れを3等分にして軽く塩をして、水分が出たらすぐに拭いて、薄力粉と片栗粉、ビールをボウルの中でさっと混ぜて、チャービルとディルの葉を加えてください。鯛にこの衣をつけて軽めに揚げるんですが、一緒に山菜も揚げましょうか。

生徒:まさに「春を食べる」ですね!

先生:揚げた素材は、立てて油きりするとべちゃっとならないんですよ。

生徒:またひとつ学びました!

先生:さて、ごはんだわ。炊き上がって10分蒸らすんですが、最後の5分で具材を加えてください。和えものも仕上げましょう。ボウルにすり胡麻とおろした生姜、粗塩を入れて混ぜ、蒸したグリーンと木の芽を加えて胡麻油をまわしかけてざっと和えたら完成です。

生徒:有子先生、お疲れさまでした〜!

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1.春のグリーンの和えもの


筋は内側の下からヘタに向かって、ヘタから外へという順番を守ると簡単。


蒸した豆類は、盆ザルにのせて自然に水分を飛ばすと、味も色も良く仕上がる。
〈材料〉2〜3人分

スナップエンドウ…10本 
絹さや…24枚 
こごみ… 6本 
すり胡麻(白)… 大さじ4
生姜(すりおろし)… 1かけ分 
粗塩…適量 
木の芽…10枚 
胡麻油…小さじ2
〈作り方〉
1.スナップエンドウと絹さやは筋を取り、こごみは半分の長さに切る。

2.蒸気の上がった蒸し器にスナップエンドウを入れ、2 分経ったらこごみを入れ、1分半経ったら絹さやを入れて、1分蒸してザルにあげる。スナップエンドウは、さやを2つに開く。

3.ボウルにすり胡麻とすりおろした生姜、粗塩を入れて混ぜ合わせ、2と木の芽を加えて胡麻油をまわしかけ、ざっと和える。