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●神奈川・日吉にあるディープスポットへ。スッポン・マムシ料理専門店『スタミナ料理 鳥八』で至極の「スッポン鍋」を味わってみた。

 信じられないほど暑い日が続いていますが、みなさまお元気でしょうか? あまりの暑さに体がダルい、何もやる気が出ない……などなど、何かと不調が出ている方も多いのでは?

 筆者もちょっと夏バテ気味でグッタリしていたのですが、知人よりスッポンを食べてエネルギーチャージをしよう、とのお誘いが。鍋というと冬のイメージがありましたが、夏にこそスッポン鍋が最高なのだ、と言います。

 その店こそが、神奈川県・日吉の住宅地に佇む、表には店名の書いていない不思議なお店『スタミナ料理 鳥八』さん。焼鳥屋のような店名ですが、実はここ、スッポン・マムシ料理専門店。スッポン鍋のほか、マムシ、クマ、サンショウウオなど一風変わったスタミナのつく料理が色々と食べられるとのこと。

 さっそく行ってきたので、そのディープで美味しいスッポン鍋の魅力をご紹介していきましょう。

ディープすぎる!スッポン・マムシ料理の店『鳥八』へ


『スタミナ料理 鳥八』の外観。一見、店名がわからないが、扉の向こうに『鳥八』と書かれたのれんが見える

 東急東横線の日吉駅から、住宅地の中のくねくねとした細い道を歩くこと10分ほどで、お目当ての『鳥八』に到着しました。このお店、完全予約制です。今回は事前にスッポン鍋を予約してあります。マムシやクマなども、予約の時点でお願いしておいたほうが確実です。


ペットのスッポン・秀太郎くんは可愛がられていて人間にも懐いている

 店内に入ると、右手にカウンター席と厨房、左手にテーブル席、そして奥に小上がりのテーブル席があります。

 そして入り口近くに置いてある小さな水槽の中には一匹のスッポンが。「これが私たちの鍋になるスッポン!?」と思いきや、このスッポンはお店のペットの秀太郎くんなのでした。数年前に養殖場から譲り受けた卵からここで孵り、こんなに大きく育ったんだそう。

 『鳥八』は創業46年。現在は元気な女将さんが一人で店を切り盛り中。最初は焼き鳥を中心に出していたそうで、それが店名の由来になっています。そして開店から3年ほど経った頃から、かねてから出したかったというスッポン&マムシ中心のメニューに。

 その料理のおいしさと「元気が出る」という口コミも相まってリピーターが増え、多くの著名人も通う人気店になっているのです。


小上がり席の壁一面に貼ってあるメニュー

「うちは女性に来て欲しいんです。スッポンは女性にとても良いから。色々な不調にも美容にもいいんですよ!」と効能を情熱的に語ってくれる女将さん。その話を聞いているだけで、モリモリと元気が湧いてくる気がします。この人情味あふれる女将さんに会いに来る女性客も多いらしく、気持ちがわかります。

 店の小上がり席の壁一面にメニューが貼られています。スッポンの他、マムシ、熊、馬刺し、などスタミナのつきそうなメニューがズラリ。どれも気になりますが、今回はスッポン鍋です。

 スッポン料理コースは、スッポンの血と胆汁、肝揚げ、鍋、雑炊がセットで一人前4000円と激安! 一つの鍋に一匹のスッポンを使い、人数によって使うスッポンの大きさが変わるそう。なお、スッポンは注文を受けてから、生きているものを捌いてくれます。


スッポン料理コースに含まれる、スッポンの血(手前)と胆汁(奥)

 最初にスッポンの血と胆汁が出てきます。どちらも焼酎で割って飲みやすくなっています。血はやっぱりなんとなく血の香りがありますねー。胆汁のほうはやや苦味を感じます。飲み干すと、カッと体が熱くなってきました。


スッポンの心臓

 スッポンの血を飲み干すと、小さな塊が! スッポンの心臓です。心臓は一つなので、グループのうち一人のグラスに入っていて、それが「当たり」です。チュルっとしたやや弾力の食感で、焼酎に浸かっていたこともあり、特に何かの味は感じませんでした。


スッポン鍋(大・2.5人前)

 さて、いよいよスッポン鍋の登場です。やや甘めの褐色のスープで、ネギや三つ葉が表面にあしらわれています。煮込まれて具材に火が通った状態で出てくるので、すぐに食べられます。中には豆腐やエノキダケも入っています。


スッポンの頭

 鍋の底をレンゲで探ると、スッポンの頭を発見! 皮の下のコラーゲンがプルプルで身はとろける柔らかさです。わかりやすいもので例えると、食感は極限まで煮込んだ手羽先に近いかもしれません。クセはなく、見た目に反してあっさり。かなり万人受けするおいしさです。


ぶつ切りにされたスッポンの身

 スッポンの身は結構な量が入っています。色々形の部位が入っているので「これはどこ?」と考えながら食べるのも楽しい。部位ごとに食感が違います。


スッポンの肝揚げ

 肝は唐揚げになってきました。肝は肉でいうところのレバーですが、哺乳類のレバーよりもさっぱりした食感で、クセはありません。添えられたレタスと共にいただくと抜群にお酒が進むつまみです。


スッポンの甲羅

 甲羅も入っています。可食部はどこ? と思われるかもしれませんが、表皮がペロリと簡単に剥がれて食べられるほか、内側の肉もほじくると結構な量が取れます。しっかり食べ尽くすときれいな骨組みが残りました。


スッポンの身以外の具もたくさん

 スッポンの身はたっぷり入っていますが、スッポン以外にも体に良さそうな具材がたくさん入っています。少しずつつまみながら、薬草酒などをいただいていると体の奥がポカポカしてきます。


スッポンの手[食楽web]

 スッポンの手(足?)も発見! 表面の皮をチュウチュウ吸っていただきます。プルプルです。

まとめ


スッポンの雑炊

 〆は女将さんが雑炊を作ってくれます。鍋の中で濃縮されたスッポンのダシがしっかり沁みた雑炊はもちろん絶品! お腹の中からポカポカになって、全身に力が漲ってきました。

 翌朝、目が覚めると全身に力がみなぎっており、ついでにお肌もプルンとしていました。まさにこれぞスッポンパワー! という感じですね。スッポンからはもちろん、元気で明るい女将さんからもパワーをいただきました。この夏、そして冬になってもいつでもエネルギーチャージがしたい時に食べに行きたいスッポン鍋でした。

●SHOP INFO

店名:スタミナ料理 鳥八

住:神奈川県横浜市港北区日吉1-8-2
TEL:045-561-6907
営:18:00~23:00(21:30LO)
休:月・火
(完全予約制・要電話予約)
https://torihachi.wixsite.com/main

●著者プロフィール

工藤真衣子
Photographer。人物を中心に様々な媒体で撮影。グラビア、インタビュー、プロフィール、ドラマ映画スチールなど。ライター:食レポ、レシピ記事は現地系異国メシ、珍しい食材、味のある店など個人的に好きな店や料理を紹介。新宿御苑前で写真館「スタジオ アトリーチェ」経営。