日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。

「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。

毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。

2024年2月19日から二十四節気は雨水に

雨水(うすい)とは、雪が雨に変わる頃。

雪が解け始まり、雪解け水が田畑をゆっくりと潤します。

厳しい寒さは和らいで、いよいよ春が動きだす、そんな季節に選んだ花は「ストック」です。

小さな頃、早春の南房総でお花摘みをした思い出の花です。

畑一面に咲くカラフルなストックに感動して、お気に入りを摘み取り、お花屋さんごっこをした楽しい思い出とともに、ストックのスパイシーな香りに驚いて、少しだけ香りを苦手に感じたことを覚えています。

この刺激的な経験から「お花の香りって色々あるんだな…」と子供ながらに不思議に感じて、さまざまな花を見つけては香りを嗅ぐ、という行動のきかっけになった花でもあります(笑)

すっかりと大人になった今では、ストックのスパイシーで甘い香りが大好きになりました。

大人には分かる春の花、ストックをお部屋にいけて、その香りとともにフレッシュな姿を楽しみましょう。

ボリュームのある姿を楽しむ

ストックには大きく2つのタイプがあります。枝分かれせず棒状に花を咲かせるスタンダードタイプと、今回使った枝分かれして花を咲かせるスプレータイプです。

今回は純白のスプレー咲き品種「パールフェアリー」を選びました。

スプレータイプは1本でも枝分かれしてブーケのようにたくさんの花を付けますので、3本でこのくらいのボリュームになります。

葉がたくさんついている場合は少し間引いて風通しを良くすると、見た目もすっきりしてスタイリッシュになりますし、蒸れを抑えて日持ちもより良くなります。

いけるときのポイントは、花をくるくるとまわしてきれいに見える場所を見つけること。その場所が見えるように花瓶にいけていきましょう。

ただ全体にまんべんなく花がついているストックは、ざっくりいけるだけでも素敵に見えますので、あまり難しく考えず、気軽にいけてみてくださいね。

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器を変えて、変わる表情を楽しむ

ストックはとても長持ちするので、水替えの際に器も変えて雰囲気の変化を楽しみましょう。

まずはオブジェのようなマーブル模様のガラスの花器にいけて、高級感のある花あしらいにしてみました。

お客様を迎える時の玄関やリビングなど、きちんと見せたいシーンにおすすめです。

次はカジュアルなピッチャーにざっくりと。

飾らないナチュラルな姿はキッチンやリビングなどくつろぎのシーンにぴったりです。

器によってこんなにも表情を変えるストック。いかがですか?

物価高の時代に、他の花と比べるとややリーズナブルで手に入るうえに長持ちもする、家計にやさしいストックをぜひ楽しんでみてくださいね。