呼吸を整えてストレスとうまく付き合う

誰にでも癖があると先ほど書きましたが、いつもカバンを左肩にかける、電話をかける時には右耳にあてると言うように、人には何かしらの癖があります。毎日何千、何万回と行っている呼吸や歩行、姿勢、考え方などにも癖があり、それが積み重なることで、心身に歪みが生じてしまう人もいます。そこで、今回は、心も体も整えるメン活を2つご紹介したいと思います。

【メン活①】椅子に座って行う腹式呼吸

不安や緊張が強くなると、交感神経が活発になり、速くて、浅い呼吸になります。緊張しないようにとコントロールすることは難しいですが、呼吸はある程度コントロールすることができます。

試験が始まる直前など、リラックスしたい時には、まずは腹式呼吸をしてみましょう。腹式呼吸をすることで、脳が「今はリラックスするときだ」と捉えて、リラックス状態を作り出してくれます。

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<腹式呼吸のやり方>

(1)椅子に座って、足を肩幅程度に開きます。

(2)背筋を軽く伸ばして、おへその5cm位下の丹田(たんでん)というところに両手をあてます。

(3)鼻から4秒程度かけて、ゆっくり息を吸います(図表2/イラスト①)。この時、お腹を風船に見立てて、お腹の中の風船に空気が入っていくイメージで、お腹をふくらませます。

(4)4秒程度息を止めます。

(5)吸う時の倍の8秒くらいかけて、ゆっくり口から息を吐きます(図表2/イラスト②)。この時、お腹の風船から空気が抜けるイメージでお腹をしぼませます。

[図表2]腹式呼吸の方法  イラスト:森崎達也(株式会社ウエイド) 
出所:真田涼著『中学受験 合格メンタルの作り方』(日本能率協会マネジメントセンター)

※腹式呼吸は、試験中でも、電車の中でも、いつでも、どこでも気軽にできます。また、腹式呼吸は、リラックス効果だけでなく、持久力がつき、ぽっこりお腹を解消する効果もありますので、親子で取り組んでみてください。

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【メン活②】漸進的筋弛緩法(ぜんしんてき きんしかんほう)両肩バージョン

漸進的筋弛緩法は、名前がなんだかいかついのですが、名前とは裏腹に、心も体もリラックスした状態を作り出してくれます。

緊張している時、不安な時に、「リラックスしてください」と言われても、なかなかリラックスは出来ませんよね。本人はリラックスしたつもりでも、身体はカチカチで緊張したままということは多々あります。

いきなりリラックス状態を作るのは難しいので、まず意識的に身体の各部分に思いっきり力を入れて緊張状態を作ってから、脱力することで、リラックス状態を味わうことができます。これを漸進的筋弛緩法といいます。

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<漸進的筋弛緩法のやり方>

(1)椅子に座って、足を肩幅程度に開きます。

(2)背筋を軽く伸ばします。

(3)両方の肩を耳に近づけ、肩をすくめるようにして、肩を緊張させた状態を5秒程続けます(図表3/イラスト③)。

(4)一気に力を抜いて、両方の肩がダラーンと力が抜けた状態を20秒程続けます。力が抜けた(リラックスした)状態を味わいます(図表3/イラスト④)。

[図表3]漸進的筋弛緩法の方法  イラスト:森崎達也(株式会社ウエイド) 
出所:真田涼著『中学受験 合格メンタルの作り方』(日本能率協会マネジメントセンター)

※気を付けていただきたいのは、力を入れる際には、7~8割程度の力で行うということです。

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極端に力を入れる必要はありません。腹式呼吸と同様、漸進的筋弛緩法もいつでも、どこでも気軽にできます。緊張している時以外にも、勉強していて疲れた時や気分転換をしたい時にもおススメです。

真田 涼

RinDa臨床心理士ルーム 代表

臨床心理士・公認心理師、小説家

小児科にて発達健診や集団療育、保健所の心理判定員、行政の巡回相談員、幼稚園や保育園等でのストレスチェック、教育委員会委託講座などを行っている。著書に『受験精が来た!』(講談社青い鳥文庫)がある。