海外不動産投資の中でもとりわけ「フィリピンホテル」への投資をおすすめするという町田健登氏。しかし物件を購入する際に注意したいのが「詐欺ブローカー」などの存在だといいます。そこで本記事では、町田氏の著書『フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~』(ビジネス教育出版社)より一部抜粋し、海外不動産投資で見られる詐欺の事例についてご紹介していきます。
ブローカーにお金を持ち逃げされてしまった!
ブローカーから物件代金を代わりに振り込むと言われた場合は、要注意です。購入代金を持ち逃げするときの常とう手段だからです。
最近は物件の購入代金をクレジットカードで支払える場合も増えてきましたが、ひと昔前までは国際送金で支払うのが普通でした。慣れない方だと、海外への国際送金はハードルが高いと感じる人も多いと思います。
そこで、よくある詐欺が「僕が代わりに振り込んであげるよ」と日本人ブローカーから言われて、その人の口座に振り込んだら持ち逃げされるというものです。おかしいと気づいた時点では、相手と連絡が取れなくなっているケースです。
詐欺ブローカーは、1,000万円の物件を販売して、自分の銀行口座にどんどん資金が入ってきます。4年後に建つホテル物件がたとえ架空であっても、発覚するのは4年後なのでわからない訳です。その間に荒稼ぎして、お金を持って消えれば良いと考えているのです。
対処法としては、ブローカーを通さずに、自分で直接ディベロッパーに国際送金することです。それさえやってもらえたら、持ち逃げ被害は100%防げます。面倒くさがらずに、自分で対応した方が良いと思います。
楽天銀行でも高い手数料はかかりますが、国際送金は可能です。持ち逃げリスクを嫌う場合、多少手数料や手間はかかっても、自分で国際送金するのが一番安全です。弊社でも、メトロバンクやPNBという東京や大阪に支店を出しているフィリピンの銀行を紹介することも可能です。
いずれにしても、国際送金のやり方はネットでも調べられるので、自分でやることをお勧めします。そして、送金前にはかならず送金先の銀行口座が、契約書に書いてある会社の口座と一致しているかどうかをチェックしてください。
日本人ブローカーが日本人を狙うのが、持ち逃げ詐欺です。本当に許せない行為ですが、詐欺師の手口に乗らないためにも、自分でディベロッパーに直接支払うことが大切です。これ以上、悲しい被害者を増やしたくないので、くれぐれも気をつけてほしいと切に願っています。
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登記簿の名義人欄に自分の名前が印字されていますか?
不動産登記簿の名義人の名前を書き換えてしまう大胆な詐欺にも要注意です。契約書が英文で書いてあるため、きちんと読まないで被害に遭う日本人もいます。最悪の場合、詐欺師の名義になっていることに気づかずに、お金だけ払って詐欺師の物件を代わりに買う羽目になります。
そうならないために、契約書の流れをおさえておきましょう。まず、最初の書類はリザベーション・アグリーメントという予約申込書です。ここに、自分の名前を記入して、ディベロッパーに購入代金を支払う流れになります。
次に、コントラクト・トゥー・セールという通称CTSと呼ばれる書類が発行されます。日本語だと売買契約書に相当しますが、ディベロッパーにより時期が大きく変動しますが、目安として物件の予約金支払い時から1年前後に支払うタイミングで書くことになります。ここに、自分の名前が印字されています。
その後、ディード・オブ・アブソリュートセールという公式販売契約書を書くことになります。物件竣工時に、最後は、サーティフィケートオブターンオーバーという物件の竣工証明書が発行され、そのあと1年前後かけて登記簿謄本を取得していきます。
ここで注意するポイントは、購入して1年から2年経つのに、まったく契約書にサインを求められなかったら怪しいということです。プレセールで物件を購入し、分割支払いする最中に嫌と言うほど何枚もの契約書にサインする必要があります。そして、その際には必ず各書面に自分の名前が書かれているか、確認してください。
誰かから転売で購入した際にも、竣工前ならCTSは買った人の名前に変わっているはずです。英語が苦手な方でも、契約書の文章をGoogle翻訳にコピーして確認すれば、もし名前が違っていた場合は気づけるでしょう。
最近は随分減りましたが、詐欺師の恐ろしい点は、本当は物件代金を支払えない人に対して、最初から物件を奪い取る前提で販売しているケースがあることです。最初から詐欺師の名義になっている契約書に気づかずに、物件価格1,000万円のプレセール物件の分割金を支払い続ける日本人のお客様がいるとします。
もともとお金がなかったお客様は、最後の残金(仮に700万円)を支払う際に、当然支払えなくなるわけです。詐欺師はお客様の物件の転売先を探すふりをして、結局買い手は見つからないのです。そうしたら、日本人のお客様は物件を諦めるしかありません。
詐欺師としては、お客様が前金300万円を支払ってくれた分だけ得をします。つまり、契約書は最初から詐欺師の名前になっているので、何の問題もなく最後は自分で残金700万円を支払って自分の物件にしてしまうのです。
本当に恐ろしい事件ですが、頭金の分がまるまる利益として儲かるわけです。本当に恐ろしい詐欺の手口ですが、最初に契約書に自分の名前が書いてあることを確認すれば、起こりようがありません。くれぐれも、英文であっても自分の名前があることを必ずチェックしてくださいね。
町田建登
ライフシフト合同会社 代表