老朽化戸建て物件の場合②…快適性にかかわる修繕トラブルも
修繕トラブルについてはもうひとつ「まだ使えるが、快適にするために板の張り替えや雨戸取り替えの要望を受ける」ことがあります。
入居者の入れ替えのタイミングで細かな修繕トラブルが発生することも多くあります。
雨漏りや給湯器が壊れてお湯が出ない、といったことへの対処は、明らかに大家側の修繕義務としてやらなくてはいけないことです。一方で、板の張り替えや雨戸の取り換えといった、「まだ使える状態で、本当に故障とまでいえるのかどうかは不明だが、悩みが絶えない」というものが、「快適かどうかにかかわる修繕トラブル」です。
必要な修繕か否かの判断基準は、とてもざっくりしたものではあるのですが「住むために必須な修繕かどうか」「必要不可欠な修繕かどうか」という点です。
大家側には基本的に「住居として貸し出せる建物を貸す」という義務があります。
そのため、先述した「雨漏りしている」「給湯器が壊れて水しか出ない」「ドアが壊れていてずっと風が吹き抜けている」ということになると、建物として役割を果たしているとはいえず、100%修理しなければなりません。
しかし一方で、「なんとなく床が傷んでいてちょっと汚い」といったことは、快適に住むために必要ではあるけれども、別に住める、ということは修繕をしなくてもいいのです。以前の記事『晴れて大家さんデビューするも…「塩対応の不動産管理会社」に募る怒り。なぜこんなことが起こるのか?【不動産専門弁護士が解説】 』ともつながってくるのですが、このような修繕トラブルも最初は管理会社がメッセンジャーとして調整してくれはします。
しかし、ちょっと入り組んでくると、なかなか管理会社も「ちょっとこれ以上は対応できません」ということになってくるため、やはり大家自身で対応する覚悟と、自身の中でどれだけの要望は飲んで、どこからは断るのか、賃借人からの要望をさばく基準を持っておく必要があるといえます。
曖昧な物差しでしかありませんが、やはり「住むのに必須かどうか」で判断することをおすすめします。
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区分マンションの場合①…共有部と専用部に関するトラブル
ここからは老朽化したマンションの一室を区分所有している場合の対策です。
区分所有マンションでトラブルが起きた場合に大変なのは、マンションの部屋自体はオーナーのものですが、廊下や共用設備といったほかの部屋と共用する設備は、管理組合と呼ばれる、マンションの所有者らが組合化したものが運営している、というところです。
業者などをしっかりと動かせる管理組合ならいいのですが、半ば放置され、古くからいる大家さんたちだけの自治組織のような場合は問題です。専門家ではないことから、運営・管理が杜撰になっているケースがよくあります。そうなると「必要な共用部の修繕がなされていない」「共用部である廊下で雨漏りがおきているのに直してくれない」といったトラブルになりかねないむずかしさがあるのです。
区分マンションの雨漏りで厄介なのは、大家側と管理組合側、どちらが直さなければいけないかが変わってくる、という点です。
戸建ての場合は、大家が直さなければいけないことが明確であり、費用的には大変ですが対策の保険もあります。しかし、区分マンションで雨漏りが起きると「大家側と管理組合側、どちらのトラブルですか?」ということになるのです。