区分マンションの場合②…大家側と管理組合側、責任はどっち?

大家が所有しているのは部屋単体、法律的には「専用部」と呼ばれる箇所のみですが、一方で、廊下は「共用部」であり、管理組合が持っていることになっています。そのため、廊下の故障なら管理組合が直し、自分の部屋の故障なら大家が直すことになるのですが、その判断で揉めることがあるのです。

多くの場合は保険に入っているため「保険で直せばいいじゃないか」と思われがちですが、「どちらの保険を使うのか」という問題のみならず、保険会社の利害も出てくる場合もあります。

よくあるのが、管理組合の動きが悪く「賃借人が怒るから、自分の保険で直したい」と大家が保険会社に連絡しても、保険会社側が「これは専用部ではなく、共用部の可能性が高いので保険は出せません」というケースです。

このようなトラブルが起こると、弁護士と建築士が現場に立ち合い確認に行き、建築士に構造的に見てもらい、どちらから雨漏りしているのかをジャッジする、といった事態に発展します。

それほど、共有部と専用部に関するトラブルは起きやすいのです。

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老朽化件にチャレンジできるのは「修繕関係の差配ができる人」

老朽化物件は確かに利回りが高いのですが、入居者の入れ替わり時にトラブルも起きやすく、自分でどこまでの修繕を行うのかのジャッジができなければなりません。

老朽化件を扱う以上は、修繕関係の差配ができること、もっというなら、修繕関係をお手頃価格で引き受けてくれるリフォーム会社等との繋がりがないと、行き詰まったり、トラブルになったりするケースも考えられます。

その点をよく考慮したうえで、物件を検討することをお勧めします。

(※守秘義務の関係上、実際の事例と変更している部分があります。)

山村法律事務所
代表弁護士 山村暢彦