高所得で無借金、申請したローンの金額はまったく無理のない範囲、さらに支払い滞納もない……にもかかわらず、住宅ローンを申し込んだ結果「謝絶」となってしまうケースが存在します。いったいなぜなのでしょうか。年収1,000万円のサラリーマンAさん(41歳)の事例からその理由をみていきましょう。牧野FP事務所の牧野CFPが解説します。

えっ、なんで!?…年収1,000万円で「住宅ローン謝絶」のワケ

銀行員「誠に残念ですが、仮審査の結果、この度の住宅ローンにつきましては融資いたしかねます」

Aさん「えっ!?……それはどうしてでしょうか?」

銀行員「詳しい理由はお伝えできませんが、過去の支払い滞納や他社での借り入れ状況など、思い当たる点はございませんか?」

Aさん「いや、マイカーローンは払い終わったし、月々の引き落としも問題ないし、特に滞納などもしていませんが……」

――現在41歳のAさんは、年収1,000万円のサラリーマンです。このたび、念願のマイホーム購入のため、メインバンクで4,000万円を借り入れようと、住宅ローンの仮申込みを行いました。しかし、結果はまさかの「謝絶」。

長年憧れだったマイホームについて、あれこれ夢を膨らませていたAさんですが、計画が白紙に戻り茫然。今後のライフプランを立て直そうと、以前から付き合いのあったファイナンシャルプランナーである筆者のもとへ、相談に訪れました。

取引先から教えてもらった“絶好の物件”に飛びついたAさん

Aさんによると、マイホーム購入のきっかけは取引先との雑談にあったといいます。

ある日、Aさんが取引先Bさんと商談しているときのことです。雑談からふと、「都心から電車で15分、駅から徒歩5分、しかも閑静な立地で、中古ですが5,000万円の戸建てが売りに出ているんです。これは掘り出し物だと思いますよ」とBさんはいいます。

かねてから住宅の購入を考えていたAさんは、この物件に飛びつきました。「それ、私が買ってもいいですか?」

5,000万円のうち、1,000万円は貯蓄や親からの援助、残りの4,000万円を住宅ローンで賄おうと考えたAさんは、早速メインバンクに住宅ローンの仮審査を申込みました。しかし、先述のような状況で、結果は「謝絶」。借入を断られてしまったといいます。

(広告の後にも続きます)

滞納はしていないが…Aさんの脳裏によぎった“ある出来事”

その後、Aさんは原因を突き止めるために、改めて毎月の支払いの延滞や他の借入等を確認しましたが、問題はなかったそうです。

「強いていえば少し前、ポイ活※に目覚めたときに、たくさんポイントが貯まるからって短期間でいろんなクレジットカードを申し込んだことがありました。最後はいくつか断られて入会できなかったんですが……。もしかして、それが原因ですかね?」
※ ポイ活……買い物やアンケートへの回答、ゲームなどの行為でポイントを貯め、貯まったポイントを活用すること。ポイントはクレジットカード決済やキャッシュレス決済で貯まるほか、新規でクレジットカード会員になることでも大きく貯めることができる。

Aさんが住宅ローンを断られてしまった理由はまさに、この「クレジットカードの申し込み」にあったのです。