夏のガーデンのお悩みの一つが、あたりを飛び交う蚊。少し暑さが落ち着いてくるこれからのシーズンが蚊に用心したい季節です。日本の蚊対策の定番と言えば蚊取り線香ですが、じつはこの蚊取り線香、意外と簡単に作ることができます。天然の殺虫成分である除虫菊を使った蚊取り線香を手作りするのは、ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さん。お好みの精油も加えて、人や犬にやさしい天然の虫よけ対策にオリジナルな蚊取り線香を作ってみましょう。

蚊の季節はこれから


encierro/Shutterstock.com

今年の夏は「危険な暑さ」というフレーズを随分と耳にしました。そろそろ涼しさを感じたいですね。

ここ数年、8月に蚊に刺されることが少ないという話をよく聞きます。実際、私も犬の散歩で公園に行っても、蚊があまり飛んでいないと感じます。

蚊は気温が25~30℃の時に活動が活発になり、35℃を超えると葉の裏など日陰に身を潜めるようになるそうです。したがって、涼しくなるこれからの季節こそ蚊が活動しやすくなり、増えてくるとみられます。蚊の季語も季節が変わってしまうかもしれません。犬の散歩や庭仕事の際は、これからも油断せず虫除けをしなくてはいけないですね。

(広告の後にも続きます)

蚊取り線香と除虫菊


StreetVJ/Shutterstock.com

蚊の対策として、蚊取り線香は古くから親しまれてきました。蚊取り線香は、除虫菊の有効成分ピレトリンを線香に練り込んで作られています。


除虫菊の花。Oleg Kovtun Hydrobio/Shutterstock.com

除虫菊の原産国は地中海・中央アジアで、セルビア共和国で発見された植物です。この花は古くから殺虫効果があることが知られていました。

蚊取り線香などの殺虫剤のメーカーで知られているKINCHO(大日本除虫菊株式会社)の創業者山上氏が、明治19年(1886)にアメリカのH.E.アモア氏から除虫菊の種子を贈られ、おなじみの渦巻型の蚊取り線香を作り出しました。上山氏は和歌山県や広島県・香川県を中心とした瀬戸内地方、北海道など、日本の各地で除虫菊の栽培を奨励し、しまなみ海道の因島は、5月になると除虫菊で島が真っ白に埋め尽くされていたそうです。しかしながら、化学薬品の普及により産業としての栽培は終了し、現在は観賞用として栽培され、広く島民に愛されています。こうした経緯から、除虫菊は旧因島市の花に制定され、現在も島のシンボルとなっています。