仕事とプライベートの境界があいまいな経営者や個人事業主にとって、日常の支出について「これは経費にできないか」と考えることも少なくないでしょう。たとえば、出張先のカフェで時間を潰した場合には、経費計上できるのでしょうか? 今回、飲食代を経費計上できる具体的な状況や勘定科目について、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏が詳しく解説します。

「飲食代」は、どこまで経費にできる? 

――事業をやっていると、日々いろんな場面で飲食代がかかってきますよね。接待のときの飲食代が経費になるのはわかってるんが、それなら1人で食事しているときの食事代とかも経費にならないかなってついつい考えてしまいます……。

黒瀧氏(以下、黒)「1人での飲食代も、条件しだいでは経費にできますよ」

――え? そうなんですか!?

黒「はい。それ以外にも、飲食代として経費にできる費用って意外と多いんですよ。しっかり把握していないと、知らないところで損しているかもしれませんね」

――それは聞き捨てなりませんね……! 具体的にどんな飲食代が経費になるのでしょうか?

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飲食代を経費計上するしくみ

黒「まず前提としてお話ししておきたいのは、食事は仕事上必要なものではなく、プライベートとして判定されるため、原則としては経費にはなりません。

しかし、税務上の基準を満たすものであれば、事業に関連する費用として扱われるため、経費計上することができます」

――つまり、飲食代を経費にするためには税務上の基準を満たす必要があるんですね。これって、会社が従業員に提供する食事に関しても経費にできたりするんでしょうか?

黒「会社が従業員や役員に提供した食事については、通常であれば現物給与といい、現金で支給しない給与として扱われます。この場合は経費にできません。

さらに、あくまで従業員の「給与」として扱われることから従業員の給与の額面が増え、支払う税金や社会保険料が増えてしまうので注意が必要です」

――下手に食事を提供するのは禁物ということですね。

黒「ただし、なにも考えずに提供するのは禁物ですが、一定の条件を満たせば福利厚生費として経費計上できます。この場合は現物給与としても扱われませんので、従業員の税金や社会保険料が増えることもありません。

――なるほど。条件しだいでは経費にできるんですね!