デビュー12年目を迎えた声優アイドルユニットのi☆Ris。’22年から始まった「10周年プロジェクト」の集大成として、今年5月に公開された劇場版アニメ「i☆Ris the Movie – Full Energy !! -」では、メンバー自身が本人役を務めた。
その挿入歌である「希望の花を」のMVが8月10日に公開され、劇場版アニメの歌唱シーンと実写をカットバックする、i☆Risならではの演出となっている。
◆アニメ映像を細かくチェックして臨んだ撮影
――劇場版の歌唱シーンと実写をリンクさせて映画の良さを生かしたMVですが、撮影をする際に難しさはありましたか?
山北 カメラワークを細かく設定して、ここの部分の動きを合わせて撮りますよ〜って感じだったので、普段のMVと比べて特に大変っていうこともなかったかも。
みんな曲の頭からAメロからまででピンでカメラに抜かれるシーンがあるんですけど、私はBメロからの登場で、しかも他の映像に切り替わるから、そのあたりの出番が少ないんです。だから映っている長さ的にほかのメンバーより苦労はなかったですね。
若井 でもMVをちゃんと見ると、最後のほうでさきさま(山北早紀)が2次元から3次元になるところが追加されてたよね。振り返ってみると、私もそんなに苦労しなかった気がします。劇場版の歌唱シーンのなかで、この部分は使いますって言われたところを事前に見返しました。
みんなで円になって歌っているあたりの部分は特に振り付けが決まってないフリーのダンスだったので、どんな動きをしてたかを重点的に思い出しました。モーションキャプチャーを撮ったときは、その場のノリで動いていたから、どんな動きをしてたか覚えてなくて(笑)。しっかり揃えようと気をつけましたね。
山北 円になったところから横に一列になるところも、どんな間隔で立ってたかとか、細かくチェックしたよね。
◆若井「3次元の足がアニメに負けてない」
――たしかに視聴者から見ると劇場版アニメの公開が今年5月で、このMVの撮影までそんなに時間が経ってないですが、モーションキャプチャーの撮影をしたのはずいぶん前ですよね?
若井 2023年の秋頃なので、ぜんぜん覚えてないですね。しかもモーションキャプチャーの撮影って、体にぴったりのスーツにスニーカーで、髪の毛も固定されてるからめちゃ踊りやすい環境だけど、今回の衣装はパンプスのヒールが高いんです。
山北 そうそう、このパンプスは今までの衣装の中でも特に踊るのが大変で…。ヒールが高いのは大丈夫なんですけど、足を覆う面積が小さいんですよね。ブーツだとぜんぜん気にならないのに。ツアーではアンコールだけこの衣装を着たけど、足が石になったかと思うくらい重たく感じました(笑)。
――特に男性はその靴で踊る大変さを理解しづらいと思うので、この頑張りをわかってほしいところですね。
山北 本番中はアドレナリンが出てるからそんなに感じなかったけど、家に帰ったらもう無理……って感じでした。
若井 でも足がきれいに見えるんだよね、この衣装。足が長く見えるように衣装を作ってくださって、本当に感謝です。アニメから実写に切り替わるときって、かわいさで言ったら実写ってアニメには絶対に勝てないじゃないですか。でも、今回はこの衣装のおかげもあって、3次元の足がアニメに負けてない!と思いました(笑)。
山北 たしかにリアル友希ちゃん、足長いな〜って思った。普通、2次元から3次元ってハードル高いからやりたくないよね(笑)。でもi☆Risちゃんたちはみんなちゃんとかわいいから素晴らしい。遠目で見たら、みんなちゃんと似てる。
若井 ある意味、長くやってきて、垢抜けてきたタイミングにできたのがよかったかも。デビュー当時の垢抜けゼロのときでは、ちょっと無理。
◆昔は深夜3時までかかっていたMV撮影
――MV撮影時のエピソードはありますか?
山北 この日はMV撮影だけじゃなくて、取材とかもあって。ご飯を食べる時間があまりなくて、ただの白飯のおにぎりを食べながら撮影してました。
若井 あの日、最初は撮影が予定より遅れて進んでいたけど、結果的に元通りのスケジュールになった気がする。でも、昔のMV撮影は本当に深夜中とかまでかかってたよね。
山北 ねー!なんであんなにかかってたんだろう。
若井 多分ダンスシーンを何回も何回も撮ってたんだと思う。完成度が今よりも低かったから、「もう1回!」って。
山北 最近、時間が押して大変だったっていうと大雪だった「愛 for you!」くらい。あとは、「Queens Bluff」はシーン数が多かったから、時間がかかったかな? 今回は久しぶりに正統派なダンスMVって感じだったから早かったのかも。
――ちなみに、若井さんは撮影の合間に何をよく食べるんですか?
若井 え、アルフォートですね。家でも絶対ストックしてあります。切れたら買い足しに行って。
山北 撮影現場に絶対あるよね(笑)。友希ちゃんが好きだって分かってるから。
◆デモを聞いて神曲だと確信した
――最後に、「希望の花を」はすでにツアーを通してパフォーマンスが披露されていたり、リリースイベントも行われてましたが、ファンの方からはどんなリアクションが届いていますか?
若井 CDや配信の音源を聴いて「いつもと違う雰囲気が好き!」と言ってくれる方がいっぱいいたんですけど、リリイベで「ライブで聴くと感動した」「さらに好きになった」って声をよく聞きます。
山北 この曲はデモが来た段階で、i☆Risのことを知らない人にも好きになってもらえるって確信した神曲です。初見の人にも刺さる曲だからこそ、YouTubeなどのSNSでi☆Risを掘ろうと思ったときに見れるようにMVを作れたのは良かったと思います。
若井 MVで気になった方は、ぜひライブを聞きにきてほしいですね。
◆今回ばかりは「来て」とお願いしたTIF
――話は変わりますが、お二人の活動についてもお話を伺わせてください。山北さんは「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024」にソロで出演されました。印象に残っていることはありますか?
山北 グループ名とマイクの本数が書いてある表を見たら、7、8、7、1……っていろいろ書いてあって、私だけマイク1本やん……ってさみしくなりました(笑)。
――i☆Risとしては2014年に初出演。初出演から約10年が経過したわけですが、どのような心境でしたか。
山北 i☆RisがTIFに出始めた頃は今ほどアイドルイベントに声優寄りのグループが出ていなかったので。今回はさらにひとりっていうこともあって、今まででいちばん緊張しましたね。
若井 わかるー。私もシンガーソングライターとして、普段と違うフェスとかイベントに出るときはめっちゃ緊張する。それと似てる感覚かも。なんか国境を超える感じがするんだよね。
山北 緊張したから、前もってファンのみんなに「絶対に見に来てね」って言っておいたんです。いつもはあんまり釣るタイプじゃないというか、「来たい人だけどうぞ」って言う感じなんだけど、今回は「すみません、絶対に来て、いつもより盛り上がってください」って言っておきました(笑)。
そのおかげで、炎天下なのにかなりたくさんの人が駆けつけてくれましたね。33歳がひとりでTIFデビューっていうのが面白かったのか、緑推しじゃない人も含め盛り上がってくれて、ホッとしました。
若井 私もソロで仙台のイベントに出たんですけど、めっちゃ告知した(笑)。サーキットライブとかで会場で見てくれる人が少ないとテンションが下がるから。自分の実力が試されるって醍醐味でもあるんですけどね。
◆「うちの子に見せるね」と言われるのが嬉しい
――若井さんは、8月18日に公開の「いっしょにあそぼう!#くまのプーさん 」(Disney+)にて、プーさんの声を担当されています。
山北 それ、SNSで流れてきて見て、笑っちゃった! 友希ちゃん、ピグレットに似てるから、まさかのプーさん!って思ったよ。
若井 たしかに、SNSで「i☆Risにピグレットに似てる人がいる!」って言われたことあるわ(笑)。まあ、私は昔からはちみつが大好きなので、そこははちみつパワーってことで。
私の周りには子どもがいる友だちも多くて、みんな「うちの子に見せるね」って言ってくれます。すごく嬉しいです!
【i☆Risプロフィール】
‘12年に結成された、山北早紀、芹澤 優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢の5人からなる声優アイドルユニットi☆Ris。彼女たち自身をアニメ化し、本人自ら声優を務める劇場版アニメ「i☆Ris the Movie – Full Energy!!」の主題歌・挿入歌となっている25th両A面シングル「愛for you!/希望の花を」が発売中。また、劇場版アニメに続き、初の実写映画「Live & Documentary Movie ~i☆Ris on STAGE~」が9月に公開決定となった。
そして、11月4日(月祝)にはi☆Ris史上最大規模となる、ぴあアリーナMMにて「i☆Ris 12th Anniversary Liveー 初☆アリーナMM(マジみて) ー」の開催が決定している
<取材・文/森 ユースケ 撮影/後藤 巧>