自営業・フリーランスにとって、老後の資金準備は死活問題です。居酒屋を営んでいる50歳のAさんも、年金はあてにできないと「生涯現役」を宣言していました。しかし、常連客から「老後の年金を増やす方法がある」と耳にしたAさんは、FPのもとに相談へ行くことに……。Aさんの事例をもとに、月々「たった400円」でできる年金の増やし方をみていきましょう。FP Office株式会社の茂野博起FPが解説します。
居酒屋店主Aさんが常連客から耳にした、「年金が増やせる」ウワサ
駅から少し離れた商店街で、居酒屋を切り盛りしているAさん(50歳)。お客さんのほとんどは、昔なじみの常連たちです。そのため、老後について話すことも多く、Aさんはその度「年金なんてあてにならん! それに、この店がなくなったら困るだろ?」と“生涯現役”宣言を貫いていました。60代になっても、細々とこのまま店を続けていくつもりです。
そんな折、常連客から思わぬ話を聞きました。
常連客「このあいだ床屋の店主から聞いたんだけど、自営業の人たちって月々400円払うと年金の受給額が増えるらしいじゃない。羨ましいねえ」
そんな制度が本当にあるのか……? 気になったAさんは、たまに店に来てくれていたファイナンシャルプランナーのもとへ相談に訪れました。
「月数百円の課金で将来の年金が増えるって聞いたんだけど、本当……? 実際、どれぐらい増えるの?」
Aさんはこれまで、怪しい投資話など偏った情報を得ることが多く、半信半疑の様子です。そこで、筆者はAさんに、付加年金の仕組みについて詳しく説明することにしました。
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「付加年金」は無理のない掛け金で堅実に受給額を増やせる
付加年金は、月々の掛金400円で堅実に公的年金の上乗せをすることができます。
第1号被保険者のための制度であり、会社員や公務員、そして主婦などの加入は認められていません。老後の資金を心配する自営業やフリーランスにとって有効な選択肢のひとつです。
その付加年金の受給額ですが、下記の算式で求めることができます。
老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給額は複雑な計算式を経て算出されますが、老齢基礎年金に上乗せされる付加年金については、非常にシンプルな計算で求めることが可能です。
現在50歳のAさんが10年間、付加年金保険料として400円を掛け続けた場合、受給額は[図表1]のようになります。
200円×12ヵ月×10年間=2万4,000円と、年間2万4,000円が老齢基礎年金の年額に上乗せされることになります。