昨年末に膵臓がんであることを公表した、経済アナリストの森永卓郎氏。がんが発覚した時にはすでにステージ4で、余命4ヵ月の宣告を受けました。がんを公表後、森永氏のもとには、がん治療に関するさまざまなアドバイスが届いているといいます。今回、森永氏の著書『がん闘病日記』(三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売)より、現在も精力的に執筆活動を継続する森永氏が、方々から届く「がんの治療法」にまつわる情報に対して抱いている「社会科学者」としての見解について、見ていきましょう。

森永氏が推奨された「体を温める」がん退治法

体を温めるのががん退治に有効だという説も複数寄せられた。

真偽のほどは別にして、がん細胞は熱に弱く、42℃を超えると死んでしまうというのだ。だから体を温めることを優先すべきだという。

がん細胞が42℃で死んでしまうかどうかは別にして、体温を上げると健康になるということは昔から知られている。

体が弱った人が温泉旅館に長期宿泊して湯治をするという風習は、日本でも古代から存在するから、一定の効果があることは事実だろう。

実際、私も冬場は「貼るカイロ」を体の前後につけていたし、風呂も長めに入るようにしている。週に1回は近所のスーパー銭湯に出かけて、温泉にも入っている。

ただ、それでがんが縮小したという証拠はいまのところない。

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森永氏が推奨された「がんに有効」な抗寄生虫薬

イベルメクチンは、2015年にノーベル賞を受賞した北里大学の大村智教授とアメリカのメルク社の共同研究で開発された抗寄生虫薬だ。

イベルメクチンは、新型コロナウイルス感染症が拡大したときも、効果があるのではないかと言われたのだが、治験が行なわれた結果、有意な効果は見られないという結論になった。

そのイベルメクチンががん治療に大きな効果をもたらすという見立てが一部の医療関係者のあいだで広がっている。

実際、私の知人でも海外から通販でイベルメクチンを取り寄せて服用している人がいる。コストも安くて、副作用もほとんどないというのだ。

ただ、主治医に尋ねたところ、副作用は存在するそうで、効果もたしかではないということで、私は服用をあきらめた。